第2編 喪失4

111


私を見る目は不安ばかり。見た目はしっかり整えたのに、中はいろんなものを混ぜたまま。



112


誘われて二人で入ったカラオケで、私は喉に傷をつける。ひりひりと痛く心にかさぶたを。



113


頭の中が意味もなく走り出すのはなぜだろう。変わらない日常が変わってしまったわけはどこ?



114


開いていた隙間から見えた空。手を伸ばして掴んでしまったソラ。体はここに、心は彼方に。



115


見えなくなってしまったこの目。見たいものだけを見られたレンズはいつの間にか割れていた。



116


戻れない日常と、去っていった非現実。その狭間に落ち込んでもがく姿は情けなく。



117


思い返す過去の自分。満足していたはずの自分。どうしてこんなにも空っぽなのか。



118


始めに失って、そして手に入れて。多分そこから始まって、また振り出しに戻ってる。



119


ふて寝して、目が覚めたのは真夜中で。地上の星が机の上で一人寂しく歌っている。



120


耳に当て聞こえる声はソラの音。ごめん、の言葉を聞いたきり、何もかもが消えていく。

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