第2編 喪失3
101
昼過ぎて、空腹に耐えかねて起きる私の体一つ。電子レンジが動き出し、ありえならざる演奏会。
102
点滅するスマートフォンに目を向けて、赤色棒を振りかざし心の叫びをせき止めて。
103
外に出る。冷たい風に背中を押され、向かう先に何が待つ? たどり着くその前に意味を見出す努力を一つ。
104
心の穴に気が付いた、虚しさだけが心を埋めて体の中を風通る。
105
道行く人を目にしながら、淡い思いに浸ってた。平凡なその他から弾きだされた高揚感を一人ひたすら追い求めてる。
106
足を止め、ふと目に付いた雑誌棚。淡く光る星の群れ。あんなにも近いと思った遠い空。
107
手に持った缶コーヒーはほろ苦く。けれども吐き出す場所はなし。
108
ベンチの冷たい背もたれが私の居場所を否定する。立ち上がる後ろ姿はきっと滑稽で。
109
踏みつけた枯葉が奏でる終わりの音色。靴底のリズムに乗って舞い踊る。
110
昨日と同じ夕日を見る。明日の道はどこだろう。目を凝らしても見えるのは今日と何も変わらない。
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