第2編 喪失2
91
茜色に染まる道、伸び切った筋肉の悲鳴が響き渡り、揺れる心ますますと。
92
太陽の最後に残った光が照らす路肩の石に目を向けて、何かに期待してしまう。
93
遠目に見える自宅から伸びた道がひび割れて、誰かの心を詠んでいる。
94
いつもと同じ部屋なのに、空になってしまったような。本もタンスもベッドさえ、手を伸ばしても透き通る。
95
何も知らない私一人、周りで全てが回っていって、音のない声を必死に聞こうとする。
96
あるいは夢かと思う時、これこそ夢と返ってくる。目を閉じて開けたら夢の続きをなぞっていく。
97
時計の針が明日を指す。見えない流れに流されてすべて泡のように消える。
98
白い小部屋に私とソラ。語る言葉は流暢で、伸びる謝罪の糸に心がきつく締め上げられて苦しさに身もだえる。
99
汗にまみれ、見開いた瞳に映る光の点。まだ何も始まらない、一日を一人寂しく出迎える。
100
朝焼けの光の重しがのしかかり、ようやく瞼が重くなり。閉じればきっと時間は溶ける。分かっていながら目にするは瞼の裏の世界。
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