第1編 出会い6
61
夜更けの空に名残惜しつつ、背を向ける。星の光に目が慣れて明日の道が少しだけくっきり見えるようになっていた。
62
街灯の明かりの下で不意に感じる恐怖感。振り返る欲に目がくらんだその先に大きな口を開けている。
63
大丈夫、ソラが私にそっとささやく。私の心が読めたのか、それとも私が読ませたか。
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自販機で炭酸一本手に入れて、無理やり一息押し出すと見えない呼気と不安が闇の中に塗りつけられる。
65
回りまわってせわしないソラを一人眺めてる。どうしたの、と聞くけれど大丈夫としか答えない。丈夫じゃないよ私の心。
66
天高く風のように泳いでく。掴まってと、差し出された棒を握った顛末だ。
67
家の前に落ちていく。地面から柔らかい感触湧き上がる。肉ではないと思いたい。ソラは目線を合わせてくれて、斜め下に傾いて。
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どうしたの、もう一度聞いた私の瞳を覗き込む、ソラの瞳に揺れるもの。
69
もやもやが頭の中の覆っていって、どこにいるのか分からない。きっと夢も霧の中。
70
果てしなく底の見えない大穴を一人寂しく落ちていく。終わりを望む私の心、終わりを恐れる私の理性。
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