-6- いない
土曜日。日が昇りきる前に目が覚めた。未だ、外は薄暗い。明かりをつけて、彼女を探す。
いない。部屋にはいない。
トイレを探す。いない。トイレにはいない。
浴室を探す。いない。浴室にはいない。
台所を探す。いない。台所にはいない。
収納を探す。いない。収納にはいない。
いない。いない。いない。どこにもいない。
彼女がいないとなにもできない。なにもはじまらない、はじめられない。なのに──、
彼女がいない。
朝焼け。まぶしいくせに、外を見た。
窓の外。ああ、そこに。彼女、が──。
今、いくよ。
──どしゃり。音は一つ、地上から。部屋の中には、誰もいない。
カーテンがなびいた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます