第38話 コメント欄が盛り上げてくれている

 アナスタシアさんから教えてもらった情報によると、交流戦の相手はクアーク家という黒い噂のあるダンジョンマスターらしい。


 そんな相手が作ったのは『氷のダンジョン』。中に入り進んだはいいものの床も氷でできているため、ツルッと滑ってしまった。


 アナスタシアさんからのアドバイスで、クアーク家は罠や地形などでボスに近づかせないことを得意としているんだとか。



1:名無しの冒険者

おっ、始まったぞ


2:名無しの冒険者

リーンベル家の探索者めちゃくちゃイケメンだな


3:名無しの冒険者

そりゃそうだろ。だって剣聖様の家系なんだから。あの美貌にあのプロポーション。それでいて

あの服装。全身を鎧で隠すんじゃなくて腰から下はスカートにする。それによりヘソや太ももといった素肌が見えてるのもポイント高いな!


4:名無しの冒険者

3コメ目ですでに通報案件(笑)。誰もお前からのポイントなんていらんだろ



 中継画面で何かがチラついたから見てみれば、何言ってんだ名無しの冒険者とやらは……。これ国が関係してるってこと分かってんのかな。あとキャラクターがイケメンなことについては、確かにリーンベル家のイメージを守ろうと思い俺が意図的にそうした。



5:名無しの冒険者

それにしてもイケメンの装備って意外と普通だよな。どれも一般的な耐氷属性の武器防具ばかりだ。いきなり滑ってたし


6:名無しの冒険者

それ俺も思った。滑り止め付きとなると魔法付与が必要だから高級品になるんだよな。由緒正しい家系で金がありそうだから、てっきり高級品で身を固めてくると思ってたから正直意外だ



 実はそこも気をつけた部分だ。強力な装備でゴリ押ししたと言われないように、エリンに一般的な装備を教えてもらったんだ。


(あっ、そういえば忘れてた)


「なあエリン、俺達が作ったダンジョンも中継されてるんだよな?」


「はい、されていますよ」


「できればその画面も見たいんだけど、できそう? プレイ画面と合わせて3つ同時に表示することになるんだけど」


「3つ同時に、ですか。やったことありませんけど、やってみますっ!」


「無理そうならそれで全然いいから」


「いえっ! マスターがこんなにも頑張ってくれているのに、いつも私だけお役に立てないのは心苦しいのです!」


「いやいや! 全然そんなことはなくて、むしろ俺の方がいつも口だけ出してて申し訳ないというか——」


「やったっ! できました、マスター!」


「えっ!? そんなあっさり?」


 初めてのことがあっさり成功するだなんて、やっぱりエリンって優秀だよな。一日でも早く認めてもらえればいいな。


 俺達が作った炎のダンジョンの中継画面を見てみると、金髪ボブでアナスタシアさんに負けないくらいの美人が探索している。

 作られたキャラクターなんだから、そりゃあ見た目なんていくらでも良くできるよな。



36:名無しの冒険者

ダンジョンマスターってのは顔が良くないとなれない決まりでもあるの?


37:名無しの冒険者

そんなわけないだろ。でも確かそういう家系だって話だから、選ばれた人しかなれないってのは合ってるか


38:名無しの冒険者

まあ男はクアーク家のダンジョンよりこっちを見てしまうだろうな


39:名無しの冒険者

ここ炎のダンジョンだろ? 服だけ燃えねえかな


40:名無しの冒険者

正直者め(笑)でもあの装備を見ろよ。あんな耐火属性の高級品で身を固められるとダメージすら通らんのじゃないか?


41:名無しの冒険者

あっちもちょっと見て来たけど、あっちは全部一般的な装備だったな。クアーク家はまさに金にものをいわせてる印象


42:名無しの冒険者

ダンジョンマスターの決まりとかは知らんけど、なんか方針に違いがあって面白いな


43:名無しの冒険者

>>40

褒めてくれてありがとう(笑)



 俺達が作ったダンジョンの方がコメントの進みが早いな。美人だからか? 探索者が美人だからなのか? 俺が操作してるキャラだってイケメンだぞ。


 男女によってどっちを中心に見るか分かれてるのかもしれないな。女性の冒険者だっているだろうし。


 なんて考えてるうちに宝箱にたどり着いた。クアーク家は罠とかを得意としているんだったな。そう考えると開けないほうがよさそうなんだけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る