第15話 外交的窮地に追い込まれる国王
「父の言うことを聞けたお前の褒美に死までの猶予をやろう」
素直な娘に褒美をやろうなどとそんな殊勝な心持ちなどなく、ただ松吉への恐怖だけがクロードにそうさせていた。
3000年に渡る長い生涯の中であれほどの恐怖を味わせてきた相手は初めてだった。
未だに娘のエリアを見るだけで松吉と相対した恐怖が思い出されて、始末どころではないのだ。
恐怖が鎮まるまで時間が必要だった。
宮殿の一室にエリアを閉じ込めると虚勢をなくし、悪態をつく。
「おのれ人族風情が!」
今まで全てのことが思い通りに行っていた反動で凄まじいフラストレーションに襲われる。
「直接罰を与えることはできん。間接的にでも報いを与えねばならん」
松吉に不用意に近づくと殺される可能性が高いので、権力を使って周りのものから攻めることにする。
「奴は人族。あの小物をことに当たらせるか」
クロードは通信用の水晶に触れるとミーム王国にチャンネルを繋ぐ。
『クロード様何ようでございましょうか!!』
すると平伏した小物──クソ国王ことミーム王国第十三代国王シット・ミームが姿を現した。
「小物、松吉という人族が私に狼藉を働いてきた。これはどういうことだ?」
『松吉……!? 地牛松吉のメガネのことですか!! あれは異界の勇者なのですが儂もあれには煮湯を飲まされているのです! 儂がクロード様を害そうなどという意思は全く!』
「意思がないというのなら行動で示せ。貴様が松吉と繋がっていないという証拠を」
『証拠ぉ……』
水晶の向こう側のシットは脂汗を流す。
証拠を示すということの意味が松吉を害せと言ってることは分かっていたがそれはできない相談だったからだ。
そんなことをすればシットの体は松吉によって、土岐と同じようにダルマにされてしまう。
だがエルフの王クロードの要求を退けるのも交易の中止や最悪戦争に発展しかけないのでできない。
『ははぁ!! かのものに必ずやクロード様に狼藉を働いた報いを受けさせることをお約束します!!』
とりあえず断れるはずもないので、完了不可能だがクロードに都合のいい返事をしておく。
「よかろう。その言葉信じよう。だが約束を果たせなかった場合貴様らとの交易を取りやめるからな」
『そ、そんなご無体な!!』
果たせない約束だというのにペナルティを設けられ、シットが悲鳴を上げると用は済んだとばかりにクロードは通信を切る。
ビビりまくるシットの反応から嫌でも約束を守ろうとするだろうと踏んだからだ。
王国に何一つとして松吉は財産を持ったないため直接勝負を挑むしかなく、現状どうやっても間接的には松吉を害せるものなどないことに気づかず、クロードはほくそ笑む。
────
「お、おのれ! 地牛松吉のメガネ! 他国との関係を壊して、王国を滅ぼすとでもいうのか!」
一方、外交的窮地に追いやられたシットはこの凶事の裏側で松吉が関与していると邪推して天に向かって吠えた。
冷静に考えれば王国が貧すれば松吉の要求の転移の研究が滞るので松吉がするわけもないし、元より松吉がこうして
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