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「それでは、今日お配りした進路希望表は今週末までに提出して下さい」


朝の生徒会の仕事が終わり、自分の教室に戻ってからSHRで取り上げられた自分の将来について。


高校二年の後半となれば当然そういう時期であり、周りのクラスメイト達もその話でざわめき立つ。


けど、この学校の生徒達は皆家業がしっかりしているので、大体の進路は既に決められているようなもの。


だから、進路で悩む子はあまり見たことがないし、私も九条家の人間となり家業を支えるという立派な道があるので、迷う事なく希望する大学をすらすらと用紙に書き込む。



それから一日の授業が始まり、今日もいつもと変わらない平穏な日々を過ごす。


こうして勉学に励み、生徒会の仕事もしっかりとこなし、クラスの調和も乱さなければ、私の将来は保証される。

生徒会役員だけでも大きな加点となるので、このまま行けばきっと亜陽君と同じ大学に行けるだろうと。


そう期待に胸を膨らませながら、私はお昼ご飯の準備をしていた時だった。


ポケットに入れていたスマホが突然震え出し、何かと思い開いて見てみると、それは亜陽君からのメッセージ。


“ごめん。急用が出来て一緒に帰れない。今度埋め合わせするね”


最後には激しく何度も土下座する猫の動くスタンプが送られてきて、私は思わず吹き出してしまった。


けど、これまで楽しみにしていたイベントがなくなったことに、徐々に気持ちが落ち込み始めてきた私は、自然と肩が下がっていく。



今日は亜陽君と学校帰りに最近出来た話題のカフェで勉強する予定だった。


以前ネットで調べたら中はとても広く、カフェなのに個室スペースがあったり、飲み物が充実していたりで。その話をしたら亜陽君からそんな誘いを受け、今日という日を心待ちにしていた。



ただ、亜陽君は生徒会長だし、色々と忙しい彼にこういうことは付きもので。私は致し方ないと、小さく溜息をついてからスマホを閉じてポケットにしまった。

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