第11話
車内で彼女は
「奇遇だな。
僕の母も
すっかりリラックスしていました。
この時、気付いていれば良かったのに、彼女との共通点を見付けてはしゃいでいた私は、もう罠の中へ誘い込まれていたのです。
確かにこれまでは出来過ぎです。
着いた所はリゾートホテルで、広大な敷地にゴルフ場やテニスコート、プール等、設備が整っています。
ホテルでの食事は、パートナーが良いせいと二時近くという事もあり、大いなる食欲を発揮していました。
普段はお目にかかれない、前沢牛も堪能し、デザートも完食すると、
「ワインが覚める迄、休みませんか。」
すっかり、彼女のペースです。
「あの‥後は飛ばして、」
綿津見は柄にも無く顔を赤らめた。
女はと見ると、大きい瞳を見開く様にして聞いている。
綿津見は空を仰ぐと、ため息一つ、
「自分で話すと決めたのだから、全てお話しましょう。」
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