第8話
今と変わらず、吸い込まれそうに青い海に、白い砂浜と岩肌とが赤松と見事なコントラストを見せるこの浜は、その昔、霊鏡和尚が、
「さながら、極楽浄土の如し」と感激した事から名付けられたといいます。
父の四十九日を終えた私は、それまでの車の営業を辞めて、職探しをしていました。
不景気で転職も難しく、頼る親戚もいない私は、時間だけ持て余している有り様です。
僅かな貯蓄に心細くなった私は、大学時代の友人の誘いを受けて北海道行きを決めました。
かつて教師を目指していた友人の、
「自然は厳しくて優しい、人も同じ。」という言葉と共に、継いでいた牧場で、一緒に働かないかと誘ってくれたのです。
黄金色の田園風景が続く東北自動車道をひたすら走り、SAで地図を見ながらコーヒーを啜っていると、不意に海が見たくなりました。
少し位寄り道しても、という軽い気持ちで盛岡ICを降り海を目指したのです。
北海道に行くのですから、間もなく見る事が出来るのに、です。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます