未来のあなたにさよならを
寝ても疲れが取れない人
未来でも
「母さん、今日も休むって伝えといて」
僕は荷物を持ちそう言うと母さんはわかったと返した
僕の名は
不登校の高校生だ
ドアを開けると桜の匂いが僕を包んだ
それを拒みも受け入れることもせずに僕はとある場所へと歩き出した
僕の家は山のふもとにある
整備がされておらず所有者もいないそんな山のふもとに
そんな山に僕は毎日と言ってもいいほど通っていた
その理由は、頂上にある
一時間ほど歩き続け、僕は頂上へと着いた
頂上は原っぱが広がっていた
そこに一つ、ひときわ目を引くものがあった
それは、桜の木だった
桜の木はとても大きく、見ているだけでどこか不思議な感情が湧き出る
僕は桜の下へと行き、もたれ掛かるようにして座る
はぁと短いため息をつく
これでいいのだろうか
こんな毎日で
学校も行かずにここで時間を捨てるような真似をして
嫌な考えばかりしてしまう
「やっと......見つけました.....」
その時誰も来ないはずのここに僕以外の声がした
すぐに僕は声の出所をさがすと少し離れたところで立っている女性がいた
そして彼女は走りながらこっちに向かってきていた
そして僕は動くことができずに呆然としていたせいで気づくと彼女は僕の目の前にまで来ていた
「やっと....見つけました...雪那さん......!」
ぜえ、ぜえと息切りをしながら彼女は僕の名を呼んだ
「なんで、僕の名前を....?」
彼女とは会ったことがないはずだ
なのになんで知っているのか
「それはですね.....」答えようとした瞬間何かに気づいたようにハッとした顔になり
「言えません!」と言ってくる
「言えませんって...」
何か言えない事情でもあるのだろうと僕は無理やり納得することにした
「それで.....何か用でも?」
「それはですね.....」
彼女のセミロングの黒髪が揺れた
彼女の頬がピンクに染まった
彼女の頬に涙が流れた
そして....そして彼女はゆっくりと口を開いた
「貴方に、伝えたかったんです。あの時言えなかったことを」
「大好きです理仁さん。前からずっと、未来でも」
未来のあなたにさよならを 寝ても疲れが取れない人 @ruisyousetu
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