The Outer Myth (アウターミス) ~外円神話~
とちのとき
【忙しい人用】第一部ダイジェストと解説
※このページは忙しい方用の、第二部へ追いつくためのネタバレダイジェストとなります。純粋に楽しみたい方は次の本編よりお読みくださいませ。
https://kakuyomu.jp/works/16818093087976384261/episodes/16818093087976620501
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【第一部・構成】
第一部「目覚めの少女と嘆きの神」は、
前半は、主人公親子をクバンダ事件を通して描く「始まりの秋津国編」。
後半は、嘆きの神ヒルコの起こした大厄災を戦い抜く「亡国日本編」となります。
【第一部 ダイジェスト】
物語は、現代日本に似たとある世界、
遥か昔から、神々と人々が、当たり前に共存する秋津国。
そんな世界の住人達には、近年、大きな不安がありました。
通常の武器では倒す事の出来ない、謎の危険生物クバンダという存在。
秋津国の最高神である女神・
そんなある日、主人公である平凡な女子高生、豊受イナホの通う学校が、大型クバンダの襲撃を受けます。
そこに颯爽と現れ、生徒達のピンチを救ったのが、イナホの母である豊受メイア。
彼女は神々を護衛する組織、近衛隊の隊員。その中でも最重要任務を任される、特務隊と呼ばれる部隊の小隊長でした。
特務隊は唯一、クバンダを倒す事の出来る刀を扱う事で知られ、その中でもメイアは、最強と謳われる実力者だったのです。
数年間疎遠になっていた、母との突然の再会を果たしたイナホは、苛立ちと嬉しさの交ざった感情を露わにします。
ですが、イナホは母の異常な強さに違和感を覚え、独自に調査をする事を決めるのです。
イナホは幼馴染の少年、
そして目的のために、夜に二人で忍び込んだのが、霞み池と呼ばれる場所。この霞み池は、秋津国にいくつか点在し、ニホンと呼ばれる場所から“物”だけが突然流れ着く、不思議な場所でした。
物しか出現しないはずの霞み池で、石棺に入った少女の死体を、二人は発見し逃げ帰ります。
翌日、イナホは祖父とその少女を確認していると、彼女は突然目覚め、記憶を失ったアンドロイドだという事が語られます。
彼女の名はツグミ。そうしてツグミとの生活が始まる。
イナホたちは近衛隊の候補生として進級し、訓練を受けつつ、メイアの過去を追っていました。その中で予期せず、クバンダに関わる巨悪の情報を掴み、騒動の渦中へと巻き込まれていきます。
そしてメイアは、クバンダ騒動に決着を着けるべく、仲間を引き連れ行動に出ますが、特務隊内の裏切り者たちによって危機に陥ってしまいます。
そんなとき、そこに駆け付けたのが、イナホとその仲間達でした。
事件を解決し、メイアは長年の復讐に終止符を打ちます。ようやく親子の時間を取り戻せたはずでした。
しかし、記憶を取り戻したツグミから、日本が滅亡の危機にある。そしてそれは、秋津国にも影響を及ぼすかもしれないと語られたのです。
日本は不遇の神・ヒルコによって、暴走した自律兵器などに蹂躙され、滅びの道を辿っていました。
神の引き起こした惨劇。事態を重く見た愛数宿は、刀、銃、勾玉からなる三種の神器を作る事を命じ、それらとの適性が最も高かったイナホたちを日本へ送るのでした。
神が見えるイナホ達は、日本で天照大神たちと出会い、ヒルコを討つ事を命じられますが、イナホはヒルコの背景を思い、何とか救えないかと考えます。
ですが、敵により深手を負った天照の寿命は僅かで、彼女を失えば日本は真の闇に包まれ、終焉を迎えると聞かされ覚悟を決めます。
強敵達との戦闘を乗り越え、ヒルコと対峙するイナホたち。イナホは何度も痛めつけられながらも、呼びかける事を諦めませんでした。
思いが通じたのか、各地での機械達の暴走も止まり、皆がほっとする中、ツグミの様子がおかしくなります。
ツグミは完璧なアンドロイドを危険視した国内外の圧力により、一度は廃棄処分とされていました。その時、祟りを恐れた人々によって、明神として祀られていたのです。
そんな祟り神としての性質が暴走し、ツグミは仲間達を襲います。原因は生き残った人々が、一連の厄災はツグミが招いたと、疑った事でした。
ヒルコは仮初の体で、通信機を介して人々に呼びかけます。自らが、悪神ヒルコであり、厄災の元凶である事を。そして、自ら身を焼き、灰と化す事で、ツグミの暴走を救いました。
ツタエテ、アリガトウ、ヲ・・・。
ヒルコの言葉がイナホに届きますが、彼女は深い悲しみに暮れました。
ツグミは復興のため、日本に残る事を決め、傷の癒えたイナホたちは、秋津国へと帰還します。
月日は流れ、イナホは霞み池で見慣れない卵を見つけます。手の中で見たことも無い鳥の雛が孵ると、イナホはとても特別な何かを感じたのです。
そしてその雛に、涙を流しながら“ルコ”と名付けたのでした。
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【解説:第一部のテーマとメッセージ】
◇均衡と分断の狭間での葛藤◇
神々と人間が共に暮らす秋津国は、理想的な共存社会のようでありながら、僅かな均衡の偏りで崩れてしまう、危うさをも象徴しています。
そして、悲劇を招いた神であるヒルコと、アンドロイドの少女・ツグミの存在が、人間社会にとって“異物”として扱われます。それは、いわゆる無敵の人や未知への拒絶であり、社会的弱者や 異文化の人々を排除しがちな、現代社会のようでもあります。
災厄の原因を「誰か」に押し付ける社会と、それでも希望を見出そうとする者が居る対比。
◇人間性と機械性の狭間◇
ツグミは初め、記憶を持たないアンドロイドですが、感情や絆を築いていく存在として物語で活躍します。
一方で、暴走し人々を襲う機械たちは、自律制御で動いているものの、感情というものは感じません。
ツグミは単に、これらより上位存在なのか、それとも本当に心を宿しているのか。仮にそれを心だと呼ぶのだとすれば、人間とどう違うのか、などの問題提起でもあります。
◇家族と自身のアイデンティティ◇
主人公イナホは母メイアとの確執や絆を通じて「家族とは何か」「背負うものを選ぶとは何か」を探求していきます。
自らの道を切り開いていく事で、幸せの在り方や、自分が求めていたものを再認識し、その選択肢を広げていくのです。
◇神話と現代の融合◇
天照大神、ヒルコ、三種の神器といった神話要素が、近未来的な兵器やアンドロイドと交差することで、「伝承の再定義」を描いています。
神話的存在も「間違いを犯す可能性がある」という事と、不完全である「人間としての可能性」の交わり。
◇破壊と再生の美学◇
クバンダに壊された家族とその絆の修復。
ツグミの暴走の末、ヒルコの自己犠牲からの“ルコ”の転生。
そして、復興が始まる日本。
そのサイクルの中で、人々の意識や絆が変化していく未来への予感と期待。
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以上、第一部:目覚めの少女と嘆きの神 のあらすじと解説でした。第二部をお楽しみください!!
第二部へ
https://kakuyomu.jp/works/16818093087976384261/episodes/16818093092953264078
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【作者より】
お読みいただきありがとうございます。応援・コメント・レビューとても励みになりますので、お気軽にお寄せください。「楽しかった」だけでも構いません!
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