第17話 ブラックな騎士団

晴れ渡る青空の中 今日は、領地対抗剣術大会

昨日は、イワン達おじ様三銃士に「まかせておけ」といわれ任せっきりにしていたのだが

結局どうなったかの詳細は聞けていないセシルであった


ユリウスの所にも3人が来たということをサマンサから聞いたのでユリウスに聞こうかと思うがどうも聞くタイミングがつかめない


そうこうしているうちに闘技場に向かう時間になってしまった

エントランスにいくと騎士服にセシル手作りのマントを羽織りユリウスがたっていた

「セシル様すごいです! 特にマントの刺繍が凄すぎます」

と侍女達が褒めちぎってくれる


「ありがとう」

余り褒められると恥ずかしい……


「では、先に騎士団と共に行ってくる」

「はい、ユリウス様 私は後ほどスタンと共に参ります」

護衛のカトレアも一緒に行ってくれるが彼女も試合にでるので試合会場につけばイワン様とショーン様がエスコートしてくださってくれるのでカトレアはそこから試合に集中してもらえる


試合会場につくとイワン様達が既に待っていてくれた

「セシル!待っておったぞ!」

「イワン様 ショーン様 ミッシェル様

お待たせ致しまして申し訳ございません」

「ガブリエル様、では申し訳ございませんが少しだけよろしくお願いいたします」

「カトレア、少しといわずここは気にしないで思い切り戦ってこい! セシルの事は任せておけ」

「ありがとうございます」


「カトレア、ご武運を」


「ありがとうございます セシル様」


カトレアはそう言って私の刺繍したハンカチを手に巻いて試合へ向かった


私はカトレアに手を振り見送り

その後観客席へと向かった

「あの…… それで昨日はどうなったんでしょうか」

「ああ、あの件か…… セシルは

ワシが元将軍と知っておるだろう」

「はい、勿論です」

「元とは言ってもまだわしがこの国の全騎士団の総裁でな 全騎士団の権限を持っておる

以前からリクリーン公爵家の騎士団の待遇にはかなり問題があってな……

騎士団員の私物化、長時間労働、それでいて不当な賃金削減などキリがないほどでな

そこに来て今回のあのユリウスとの一件じゃ」


「なんともいえないですね」


「まあ、以前からリクリーン公爵には何度もわしからも言っておったんでな

昨日騎士団没収してやったわい」


「え? 没収ですか?」


「まあ、騎士団員の待遇改善ができるまでな……

リクリーン公爵家に残りたい者は残るしそれ以外の者はワシが各騎士団に紹介状を書いてやることにした

騎士団の連中は命懸けで戦っておるのにあんな馬鹿げた事に利用されたり罵倒されるのはあんまりだからな」


「リクリーン公爵様は、どうされるんでしょうか……」


「さあ、知らん…… 今まで自分と家族がまいた種だからな」


「騎士団員達は喜んでいたぞ 今日の試合も騎士団総括部として出場するから伸び伸びしておった」


「ということは…… 」


「ユリウスとの約束はなかった事になったわけじゃ」


「ユリウスも賭けの勝ち負けで謝罪なんかされたくないらしいしな」


「リクリーン公爵も言い訳ができてよかったんじゃないか」


それにしてもそんな騎士団聞いた事がない・・・

私物化……って

まあ、自身の家で持っている騎士団なのだがここでいう「私物化」というのはまたちがった私物化らしい

「セシルにはとても聞かせられない内容だ」とイワン様が仰るので深くは聞かないことにした


それにしてもあのお茶会の件もうそろそろ終わりにして欲しい……

ユリウスにしてみればあのお茶が熱かったりしたらとかやっぱり私への侮辱が許されない事らしい……

リクリーン公爵家もあの令嬢も謝罪の気持ちなんてこれっぽっちもないから困ってしまう


今日はとにかく試合を楽しみ

ユリウスを応援する事に専念しようと思うセシルでした

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