第16話 おじ様三銃士
ユリウスとリクリーン公爵が王宮の廊下でもめていた
そのころ、その揉め事の元々の当事者であり被害者であるセシルは
アンナ・マトレシア公爵夫人のサロンにいた
自分の編んだひざ掛けをプレゼントする為に訪問し
セシルが来ることを聞きつけてイワン様とショーン様も既に彼女の邸に訪れていた
「まあ、素敵 青いサルビアの花の絵柄がとても美しいわ」
「素晴らしいな 編み物のこと等全然わからない私だがこれは凄いことだけはわかるぞ」
「まあ、イワンったら」
「喜んで頂けてすごくうれしいです」
「セシルは青いサルビアの花の意味を知っていてその花を選んだのか「
「ショーン様は花言葉までご存じなのですね」
「それは、セシル女性に花を贈る時にその花の意味を知らなければ女性に花を送れないだろう」
とショーン様を口元に笑みをこぼした
「青いサルビアの花言葉は 「尊敬」「知恵」寿命を延ばしたり、悲しみを和らげる力もある」
「流石ショーン 物知りね あと一つ若い女性には将来の夫を予見する力もあるのよ」
「もう、君には必要のない力だろう」
「まあ!イワン失礼ね まあ私の旦那様はもう星空で私を待っていてくれているけれどね
でも、これを編んでいてくれたセシルがこのサルビアを編んでる時にユリウスと婚約したわけじゃない
やっぱりサルビアにはそういう力があると思ったらロマンチックじゃない」
「アンナ様・・・」
「セシル、きっとユリウスは貴女と運命の糸で繋がっていたのかもしれないわね
必ず幸せになりなさい」
「ありがとうございます アンナ様」
そんな話をしていると元王宮医局庁長官であったミッシェル・サマーズがやってきた
「ふふ、ミッシェルいらっしゃい あなたもセシルに会いたくて来たのね」
「ああ、そうだよ アンナ 今日も綺麗だね」
とミッシェル様はアンナ様の頬にキスをして白い薔薇の花束を渡した
「セシル~!会いたかったよ まさか君が辺境伯夫人になるなんて
私の息子のフレンの嫁に来てもらおうと実は準備していたのに本当にショックだ」
そういいながら私の頬にキスをして青い薔薇の花束を渡してくれた
「まあ、ミッシェル様こんなめずらしい薔薇を花束にしてくださるなんて・・・」
「君のために作った薔薇だからいいんだよ
花言葉は「神の祝福」
本当はフレンの嫁になって幸せになって欲しかったのだが・・・
まあ、ユリウスもいい男だ 幸せになるんだぞ」
「ありがとうございます ミッシェル様」
私の為に作ってくださったなんて社交辞令であっても凄くうれしいわ
ミッシェルの奴・・・昔からフレンの嫁にセシルを迎えたいと言っていたのは本気だったんだなと イワンとショーンは思い、夢が破れたミッシェルのことを少し気の毒に思った
「ああ、そういえばユリウスといえば先程用事があり王宮に行っていたのだが・・廊下の真ん中でリクリーン公爵とやりあっていたぞ」
「え? どういう事なのですか? ユリウス様がリクリーン公爵様と喧嘩でもされたのですか」
王宮の廊下での一部始終を見ていたミッシェルはお茶を飲みながら一連の出来事をその場にいるものに報告した
「あの~、今お聞きした話ですが大変良くない方向に向かっていますよね」
「あの時わしたちも一緒におったし、そんなもの返してしまえって言ったからな」
「ああ、そうだな 私達にも責任があることだ
さあ、イワン動くか」
「ショーン様動くってどういう事ですか
ショーン様達までご迷惑をお掛けするわけにはいきません」
「まあまあ、セシルおじい様3人にお任せしておきなさい
ふふっ おじ様三銃士というところかしら
きっとあなたには悪いようにはしないからあなたは私とお茶でもして待っておきなさい」
「そうだよ私も二人と一緒に行くから任せておきなさい」
「ミッシェル様・・・イワン様もショーン様もありがとうございます」
3人のお言葉に甘えてお任せすることにした残念ながらこんな事になってしまったらセシルは何もする事が出来ないしそういう力も持ち合わせていないことを自分自身が一番よくしているからである
3人は先触れも出さずに
リクリーン公爵家へと乗り込み公爵をすごく驚かせた
「イワン・ガブリエル元将軍閣下とショーン・ラドラー元宰相そしてミッシェル・サマーズ医局庁長官までいきなりどうされたんですか」
「いやあ、久しぶりにお前と話がしたくてな」
「ガブリエル様・・・・ 光栄です・・・」
「やあ、リクリーン公爵久しぶりだな」
「お久しぶりです・・ラドラー様」
「実は今日の王宮でのあの一連の出来事の件できたんだ」
「え?・・・・・あの・・・・・」
「私、全部見ていたんだよ」
「はあ~・・・・ とにかく応接室へどうぞ」
パタンと閉まった応接室の扉
応接室からは特に大きな声が聞こえるわけではない
話は30分ほど終わり3人の重鎮は応接室から出ていきスッキリした顔で帰っていった
リクリーン公爵は、3人を見送ることもできな程応接室のソファで焦燥して宙を見つめていた
帰りがけに公爵家の演習場に続く廊下でリクリーン公爵騎士団長 スティーブ・ジャンソンに出会った
「スティーブ久しぶりだな えらく顔色悪いな 姿勢も前かがみになっちまってどうした」そう言ってイワンはスティーブの肩を抱き耳元で何かを言った
「え・・・・そんなこと・・ あ・・・ありがとうございます」
その様子をみて騎士団員は団長の喜びように驚き呆気に取られていた
「お前たちには今はいえないが明日は試合を楽しんだらいい」
スティーブは嬉しそうに戸惑っている騎士団員たちに声をかけた
「はい・・・ ありがとうございます
そして、3人はというとその足でユリウスに事の次第を説明にいった
ユリウスは相変わらずの無表情で
「わかりました ありがとうございます」と3人に礼を言ったのだが
「なんだユリウス お前ちっとも有難そうではないぞ」
「イワン・・・今更だろ」
「そうだ、ショーンの言うとおりだ それよりユリウスお前セシルを幸せにしなかったらうちのフランの嫁にするからな」
そこから延々とユリウスに対する説教を夜になるまで続ける3人であった
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