第15話 リクリーン公爵騎士団の災難

 リクリーン公爵家騎士とユリウスとの対決は

 王都中にあっという間に広がった

 このとんでもない約束を勝手にリクリーン公爵がユリウスと交わしたことで一番のとばっちりを受けていたのがリクリーン公爵騎士団である

 何しろ相手は、ソードマスターでも段違いに強いユリウスである


 リクリーン公爵家騎士団長 スティーブ・ジャンソンは、その話をリクリーン公爵から聞いた途端は胃がキリキリと痛みだして止まらない


「ああ、もう本当にこんな主人のところ辞めてしまいたい……」


 彼がこんな事を言っても騎士の風上にもおけないなんて言ってあげないでほしい

 この騎士団長、毎回毎回リクリーン公爵だけでなく公爵家の人々から無理難題を押付けられているのだ


 ザンダー辺境伯が大会に出場しないと聞いていたからもしかして我が騎士団優勝しちゃうかも……とか密かに思っていたのが、全く180度話が変わってしまったのだから胃が痛くなっても仕方ない

 その上、負けてリクリーン公爵が土下座なんてなってしまったら……

 というか土下座決定だろう

 負けたらなんだかんだ土下座しない方法を考えて逃げようとする

 でも、いつもそうゆう時もとばっちりを食らうのは 使用人か騎士団である我らだ


 どうしてあの公爵は後先考えず行動するのだ……


「ああ…… もしかしたらユリウス辺境伯より魔物と戦うほうがまだましかもしれない……」

 とぶつぶつ言いだす始末だ


「団長! 負けて元々です! 辺境伯と手合わせできるだけでも我々は、光栄だと思っていますから!」


「お前達! どこまでも俺たちは一緒だ!

 ともに散り行こう!」


「団長!」

 騎士団員達になんとも複雑な励まし方をされるスティーブだが彼等の言葉に背中を押されたのも事実であり、より一層彼等の結束が固まったのも事実である


 しかし、この対決が後々スティーブを含め騎士団員達の運命を変えるきっかけになったのはまだこの時は誰も知る由もない事であった

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