第105話 蛇の認証の主の悲しみ

「本当にばかだなリル 

 お友達や保護者とせっかく一緒にきたのにかえしてよかったのか」


「イーリスお前こそ その蛇との打ち合わせは、もう終わったのか」


「イーリス、それでどうする本当に発動するのか

 では等価交換に差し出すものはきまっているのか」


「それは、リルに決まっているだろう」

 イーリスこいつは何をいってるんだ


「ハハハ!イーリス

 こいつはお前のものではないだろう 

 お前のものを差し出さなければならないだろう」


「では、この魔石でよいだろう」

 とパトリシアの魔石をかかげた


「イーリスよ、お前面白いことを言うな 

 その程度のもので等価交換といえるはずではないだろう」


「主よ、何を言ってる・・・・・どういうつもりなのだ」

 イーリスの体が震えだした

 どうなってるんだ・・・・ 

 そう思った瞬間大蛇が魔石とイーリスを一瞬で飲み込んだ


「うおおおおおおおおおおおおお」

 という雄たけびをあげながら大蛇の体がボコボコとなりながらよりおおきくなった


「ハハハ!結局は自分の力でもないくせに、あたかも自らの力のように勘違いしておった 

 我を目覚めさせるものは、皆あやつのように愚か者ばかりじゃ 

 そしてみな 自滅していく」

 蛇の紋章の主は、淡々と話している


「リルよ、本当の悪は闇の魔術・・・・・

 禁忌の魔術と言われる我かとおもうか? 」


「蛇の紋章の主よ

 私はあなたと血の契約を交わすもの

 私欲のためにあなたを利用しようとするものその者こそが「悪」だと思っている」


「ふっ!リルよ、そなたの作る世界見てみたかったもんだ」


「え? 」


「しかし、我はイーリスとデボラと血の契約を交わしたもの

 最後にイーリスとデボラを吸収したのだからあやつらの願いをかなえねばならぬ」


 殺気を感じ、剣を構える。


「すまんな、リル 我の前では何もきかぬ」


 黒い闇が俺の足元に広がっていく 

 金縛りにあったように体が動かない


「リル、亜空間へとおちていくがよい・・・・・ 

 万が一、そなたがその場から逃れるようなことがあれば一つ願いがある現在ニコラスが持っている蛇の認証の羊皮紙をおぬしの光の炎でもやしてくれぬか・・・・・

 われはもう愚かな人間に利用されえることにつかれてしまった・・・・・

 さらばだ、リル・・・・・・

 亜空間へと堕ちていくがよい・・・・・」


 足元の闇が大きな穴になり暗闇に堕ちていく・・・・・


 蛇の紋章の主の悲しい心の闇に、堕ちていく・・・・・・


 彼もまた 私欲に満ちた人間に利用されていることに疲れてしまったのかもしれない


 真っ暗な闇の空間にこのままずっとずっと俺は落ちていくままなのだろうか


 ああ、結局父上に恩返しもできぬまま命が果てるようになるのだろうか


 ハイネ・・・・・約束をやぶってしまってすまない・・・・・・


 ハイネ、結局つたえないといけない一言がまだ伝えられていない


 最後まで、君を困らせてばかりの俺だったな


 ゆっくり落ちていきながら俺を愛してくれた人たちへの言葉があふれだしながら闇にとけこんでいくようだった













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