第102話  知らなかったシファーの事実

 ユーゴスの遺した地図が気になり、ティコとシファーに相談する


「一度この地図に沿ってイーリスを探してみないか? 」


「3人一緒にというのはどうも効率が悪くはないか?」とティコがいう


「私が一度1人で行って参ります

 もしかするとイーリスとパトリシアが帝都や王都に現れるということもありますし」


「デボラ皇妃の取り調べは進んでいるのだろうか? 」


「今日は、母上が話をしにいってますよ」


「クリスティ様は聞き出すのが上手だからな

 何か聞き出せればいいのだけれどな」


「イーリスを探し出すことも大切だけれど、確実にイーリスが狙っているハイネ・アネッサたちを非難させていられるような場所はないだろうか」


 隠れ家・・・・・で思い出した

 俺が最初に目覚めた場所


「水晶宮・・・・・・そうだ水晶宮がある

 あそこは誰もわからない場所だ」


「私たちもリル様をお迎えに行った時はまだ16歳と15歳だったので実はあまりよく覚えていないのですよ」

 シファーも黙って頷く。


「今回は父上のお力をお借りするしかないな」

 早速父上に連絡をすると俺たちが1番といってもいいほど頭の上がらない人がやってきた。


「おお!リル、ティコ、シファー久しぶりだな」

 と相変わらずの大声でいきなり俺の頭をワシャワシャと撫でる。


「カリアス師匠!どうされたんですか」


「どうするも何もあの場所は俺と殿下しか知らないからな

 ティコとシファーも元気だったか」


「師匠もお元気そうで何よりです」


「ティコお前はちょっと痩せたんじゃないか? ちゃんと飯食ってるのか? 鍛錬怠ってないだろうな」


「大丈夫ですよ、毎日ちゃんと鍛えていますよ」


「そうかそうか、それならいいが無理はするなよ

無理はな、シファーはどうだ嫁さん元気か? 」


「え!!」突然の話にびっくりした


「はい・・・・・あまり帰れないですが元気そうです」


「ちょっと待ってシファー、結婚していたのか」


「なんだ、シファーお前リルに話していなかったのか」


「いやあ、バタバタしてて・・・・・・」


 バタバタしててってそんなもんじゃないいだろう!と言いたいがびっくりしていて言葉に出ない


「バタバタしててってお前なあ」

とティコが俺の気持ちを代弁してくれたようだ。


「リル、相手は誰だと思う?」

とティコがイタズラっぽく笑いながら言う


「いや、全然思いつかない

そうやって聞くってことは俺の知ってる人? 」


「ヒントその1、俺たちのことをよく知っていて、シファーの仕事やシファーの性格をよく理解してる人」


 確かに、シファーは長い間俺やハイネの影をしてくれていて自分の時間など皆無だったはず……

そしてこの無口な性格よほどの包容力がないと、いや女神のような包容力がないと無理かもしれない

女神のような包容力で俺の知っている人

 ハイネ・・・・・は俺の婚約者だし・・・・・あと思い当たる人は一人しかいなかった


「もしかして、シンファさん?? 」


「そう、だからシファーは名実ともに俺の義弟というわけだ」

とティコがシファーの肩を抱きながら笑う。


「ああ、そうか義弟になるんだ

それでシファーは「お兄さん」って呼んでるのか? 」


「そんなわけない!」

と珍しくシファーが大きな声で叫んだ


 そんな俺たちのやりとりを面白がってカリアス師匠が大声で笑う


 まるで小さな頃の演習場の時間のようなひと時だった

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