第49話 VS サラマンダー
山頂までたどり着くと奴が待ち構えていた
山頂は然程広くないサラマンダーの攻撃を交わしたとしても落ちてしまえばおしまいだ
「ブルー、ホクトお前達はいい・・・ 動くな
ここはどうも一対一で戦わないといけないみたいだ」
サラマンダーも今回は前回のように突然突っ込んできたりはしないようで、俺の出方を見ているように思える
間合いを取りつつもジリジリと近づいてくる
仕掛けてきたのは向こうだった
ギャオオオオオウエエエエエ
と雄叫びを吠えながら、焔を吐き突撃してきたサラマンダーの上を俺は飛びながら奴の後ろにまわる
「ラードスボンバルデーシャナ(氷の爆撃)」
剣に魔法を込めながら奴の体に打っていく奴の固い体の剣がヒットした部分から凍っていく
何度も、何度もお互いに攻撃していく
でもサラマンダーの動きが止められない
もうすでに空も周りも夜が更けていて星の煌めきとサラマンダーの焔が闇夜に浮かんでいるのであった
「ふっ、お互いしぶといな」その時父上の言葉を思い出した
「強い魔獣は核を狙え」
上からだと強靭な鱗で核が狙えない
下からしかないな
まず足元を狙って動きを止めてと思い、奴が前足を上げた瞬間をねらい滑り込むようにして体の下に潜り込んだ
足を狙うつもりだったがちょうど真上に腹の中が赤く光っているものが見えた
サラマンダーの核だ!と思った瞬間
「ヴオルヴィオローデン(魔弾)」
と今度は剣に呪文をこめ奴の核へと剣を刺した
サラマンダーは、断末魔の叫び声を上げながらカラーンという音をさせ落ちた紅の魔石を残し、粉々に散ってしまった
俺は起きあがろうとすると膝から崩れた
「うっ、最後にサラマンダーの毒を浴びていたようだ……」
意識が朦朧とし始めた時…… ハイネの幻影が見えた
「リル様、ポーション沢山用意しましたから必ず遠征の際はお持ちくださいね」
「ハイネ、そんなに持っていけないよ。
大丈夫だよ心配しないで・・・・
でも ありがとう気持ちだけ受け取っておくよ」
「なんとか持っていけないかしら」
ハイネ、君の言う事聞いていれば良かったよ・・・・・・
プシュッ!!と顔に何か浴びされたと思ったら口にマシロが針を突っ込んできた
「ごくっ」体が楽になっていく…… でもマシロもう少し優しく扱って……
上半身だけ起き上がって、お腹に座るマシロに聞く
「これ、もしかしてハイネのポーションか? 」
マシロは知らん顔してまた俺のフードに戻る
マシロは、あの舞踏会の夜から俺に冷たい……
マシロはハイネに懐いていたから心当たりがありすぎて何もいえない
そうだなあんな幻覚見る資格なんて俺にはないのにな……
と頭を抱えてしばらく落ち込んだ
毒は消えたようだが、体もガクガク、ボロボロ、サラマンダーの魔石をもったそのままその場で大の字になって寝転んでしまった
「あー、星が綺麗だな」
と言いながらサラマンダーの戦いでボロボロな体に、ハイネへの自己嫌悪の重たい気持ちを抱えたまま眠ってしまった
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