第38話 パートナー会議
そして、父上、母上の前に座らされ、尋問いや話をきかれているんだが……
「コンティ、貴方リルの学校の卒業生でしたわよね
1年の冬休みが明けてすぐに舞踏会があるなんてご存知のはずですわよね」
「随分昔の事だったから、すっかり忘れていたなぁ〜、ははははは…… 」
父上、顔が引きつってますよ
「貴方たち、剣術や魔術も大切な事ですが社交界のことを疎かにしては、いけませんよ
剣術大会でたとえ優勝したとしても、舞踏会でパートナーも誘えない
エスコートできないようではいけませんよ
ヨハンを見てみなさい」
「確かに…… それにしてもヨハンいつの間に…… 」
「リル、別に婚約する訳じゃないし、女の子の友人いないのか? 」
「う〜ん、あ!アリッサ・アッサムは、同じ寮で話した事もあるしエスコートした事もある…… あ、だけど アレクと婚約してるからだめか……」
そういうと父上は、頭をかきながら、母上は、びっくりした顔して
「お前、知らなかったのか
アッサム嬢とアレクは、婚約破棄してアッサム嬢は、その……別の男性と婚約する予定らしい…… 」
「え〜! それも初耳です」
「あなた、本当に剣術の鍛錬と勉強しかしてなかったのね。結構有名な話よ」
そんな事誰も話さないし、聞かないし…… しらねーよ
びっくりしたけどアッサム嬢の為には良かったよね
「コホン、とにかく他に女生徒の友人知り合いはいないのか? 」
「う〜ん、思い返してもみんな婚約者がいる人ばかりですね〜
そもそも女生徒と話した事ありませんから…… 挨拶程度ですかね」
「え! 話をした事もないのか」
「そんな時間も、機会もありませんし…… あ! 」
「思い出したのか 」
父上も、母上も前に乗り出す
「ひとりだけ、少しだけ昨日帰り道に少しだけ話した人ならいます」
「誰? どちらのお嬢様なの 」
母上の手は、祈るような手になりマーサもいつの間にか母上と同じ様な仕草になっていた
「ほら、隣りの領地のハイネ・グランシス嬢ですよ
でも本当に少しだけしか話していませんよ」
「グランシス侯爵令嬢か……
グランシス侯爵家なら問題ないな
まあ、1年生の舞踏会パートナーの申し出をするだけだから問題なかろう
まあ、相手に断わられたらどうしようもないがな、ハハハ」
「リルが断わられる理由ありませんでしょ!
シーアス、グランシス家に先ぶれをだしてできれば早くお伺いしたいと」
「承知しました、奥様」
「やれやれ、女性に関して疎いところは、どこかの誰か譲りですかね 」
とグーゼラスがチラリと父上をみて笑う
あ〜 !でも本当に、剣術や魔術の鍛錬している方が楽だ
しかし、ヨハンもアリッサもいつの間に!
とりあえずヨハンを問いつめる事にしよう
と思っていると
「リル、忙しくなりますよ!いらっしゃい 」
と張り切っている母上に 呼ばれた
「リル、頑張れ 」
と、父上とグーゼラスは、クスクス笑っていた
1刻半程して早速グランシス侯爵家から返答がきた
明日早速グランシス侯爵家に伺うことになった
「学園の行事のパートナー申し込みするだけなのに、婚約でもするような騒ぎだな」
と呟いたら
「リル様、わかってらっしゃいませんね
学園の行事と仰いますが社交界の縮図のようなもの何処の家のどのご子息がどちらのお嬢様をはじめてのパートナーとしてお選びになるかなんて皆様注目されるに決まっているじゃないですか
そのパートナー選びに政治的意図が含まれているとまで考えられてしまうんですよ」
「あ〜なるほど」
マーサに諭されてようやく理解した。
「グランシス侯爵家なら我が家とも利害関係がなく家格も丁度いいのですよ
逆にリリアーヌ皇女がパートナーでしたらまたいらぬ勘ぐりをされかねませんならね」
と母上が説明してくれた。
明日、グランシス侯爵家に申し込みを受け入れてもらった場合の今後の提案をどうするか母上と相談していながら、断わられたらどうしようと心配になっていた
◇◇◇その頃グランシス侯爵家では……
「兄上! パートナーをしてくださるって思っておりましたのに! 」
「だって上級生も参加の舞踏会だぞ
俺は婚約者のシャリーンをパートナーにするに決まってるだろ
第一、お前誰にも誘われなかったのか」
とクラウス兄様に溜息をつかれた
「誘われなかったわけじゃないけど、誘って来た人がみんなパトリシアの取り巻きだったの
なんだかパトリシアが駄目だから私を誘ったみたいな感じで嫌じゃない……全部断ったわ」
「そうか…… まだお子ちゃまだからな
まだまだこれからだ
いつかお前の良いところを、わかってくれる人も現れるさ 」
うっ!でも最初からこんな風につまずくなんて
ララも、他の子もしっかりパートナー決まってるし……
ヨシヨシとクラウス兄様がなぐさめてくれる
バターン
「お父様、ノックもせずにどうされたのですか?」
「ハイネ、お前 ジーザメリウス辺境伯様のご子息に何か無礼なことでもしたのか」
「え?何も……してないはず……」
「先程、出来るだけ早くお前に会いたいと先ぶれが来たぞ、明日で返事したが」
「ええええ〜!リル様が家にくる? えっと 何もしてないはず まさか王子様達見守り隊がばれた?」
「お前なにやってんだ
それだ、それの苦情を言いにくるんだろう」
「もしかして、舞踏会のパートナーの申し込みとか……」
「父上! それは絶対ない! 」
「お父様! それは絶対ありえません!」
と私とクラウス兄様が同時に叫ぶ
「なんで兄様がいうのよ
わかっていても人に言われたら腹が立つ〜!」
「だって、あのリル様だろ
ナイナイ!それにリル様ならこんなギリギリじゃなくて、もうとっくにパートナーなんてどこかの綺麗な令嬢に決まっているよ
ハイネみたいな普通の子に申し込むわけないだろ」
「クラウス!なんて事いうの!」
さっきまでソファで編み物をしていたお母様が手を置いて怒る
「兄様のバカ! いじわる! これからお薬も、化粧水も作ってあげないから」
って、泣きながら部屋に戻るとお母様の侍女のサラが追いかけてきてくれた
「ハイネ、大丈夫よ
お話を聞く限りリル様は自分を応援してくれる人を叱りにわざわざ来られる方じゃあないでしょ
あまり泣いていると目が腫れて明日リル様にお会いできないわよ」
「そうですよ、お嬢様サラが腕によりをかけていつもよりもっと綺麗にして差し上げます」
「お母様、サラ……」
「明日はきっと素敵なことがあるはず……
でもクラウスはお灸を据えておきましょうね」
複雑な思いを抱えながら1日が終わった
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