第37話 王都にて

 目を開けて天井をみると、自分の家の自分の部屋だと感じる

 コンコンと扉をノックし、


「リル様、お目覚めですか? 」

 というマーサの声も嬉しく感じる


 身支度をしてくれるマーサに

「マーサ、大丈夫か?

 今ジェシリアの侍女もしているんだろう

 俺なら自分でできるよ」


「リル様、ご心配なさらなくてもジェシリア様は、大丈夫ですよ

 せっかく帰ってきていますのに、私にお世話させてくださいまし」


「マーサ」


「あら、リル様また、体が一回り大きくなられましたね

 ご準備していたお洋服が全て小さいかもしれません」


「ああ、でも少しキツいくらいで…… 」


「いけません、リル様とりあえずこちらのお洋服着て頂いてよろしいでしょうか

 奥様と御相談してまいります」

 と慌ててマーサは、母上の部屋に行った


 そういえば、ちょっとキツくなってきたかなぁと思っていたけど、気づかないうちに結構大きくなってたかも……


 慌てて母上を連れてマーサが部屋に戻ってきた


「あら、本当! 大変 すぐに仕立てなおさないと、あと仕立てあがるまでに着る服も用意しなきゃ、もうせっかくだから王都に行って徹底的にお買い物するわよ! マーサ馬車の準備を! リル! 朝食たべたらすぐいくわよ! 」


「はい! 奥様 ! 」


 あっという間に、いつの間にか王都まで母上と、買い物にいく話になってる

 なんだかまたすぐ大きくなってあわなくなる気もするけど、まあ、母上張り切っているからまあ、いいか と軽く思っていたのを後で凄く後悔するのであった


 ジーザメリウスの邸から王都までは、さほど遠くない馬車でゆっくり行っても半時程だ


 馬車から降り、馬車の降り口で手を差し伸べ、母上をエスコートする


「リル、すっかりエスコートもさまになって大人になったわね」


 そう言われると恥ずかしいんですけど母上


 もう、そこからは、怒涛の如く何件も店を巡り着せ替え人形状態「北斗」時代も、ブランドのコレクションでモデルをしたことあるけど、ここまででは無かった

 何度も着替えてあわせて、貴金属まであわせにいく

 しかも行く先々でご購入

 母上は、普段派手に買い物などする人ではない


「リル、良い物をキチンと見極める眼を持つことよ

 無闇矢鱈に購入は、しなくてもいいけど良い物にはお金を惜しまず経済の循環も大切なことだからバシっとつかうのよ! 」

 といいながら最後のお店よ! と最近人気のある新進気鋭のデザイナーの店を予約してあると向かう


 スチュアート・レノア 斬新でありながらも上品なデザインでとても人気があるそうだ


 店に入ると意外な人物がふたりいた

 ヨハンとリリアーヌ皇女だ


「え? 」びっくりしたが、母上とともに、キチンとリリアーヌ皇女とカリオス王国の第3王子への挨拶をした


「リル、お母上様と買い物か? 」


「ヨハン、びっくりしたよ

 まさかここで会うなんて思わなかった 」


「いや、ほら休み明けの舞踏会があるだろ

 時間もないし、昨日リリアーヌ皇女にパートナー申し込みをしてその足で国王様にもご挨拶しにきていたんだよ 」


「舞踏会 ? あ、なんかそんな事言ってたような気がする」


「リル、呑気だな

 ドレスやタキシード用意するだけでも時間がないぞ

 俺たちも国王に承諾頂いてリリアーヌ皇女が町を見たいというから店に来たんだ

 ダンスの練習もしないといけないだろ」


「あれって、全員参加だったっけ? 俺不参加じゃだめかな 」


「駄目に決まってるだろ

 全員参加!パートナー必須 だぞ」


 うわあああ やばいやばいと思っていたら

 それを聞いていた母上とマーサの様子のほうがやばい


「リル、すぐ帰りますよ ! スチュアート また日を改めて参ります

 カリオス様 、皇女様申し訳ございませんが失礼いたします」

 母上もマーサも怖い、なんか怖い


「ヨハン、帰りにうちの邸にもきてくれ」


「ああ、わかった、俺もお前に話があるし……」

 そして慌ただしく邸に戻った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る