第31話 剣術大会 前編
雲ひとつない青空、この世界でも秋は、空が高い
空に向かって大きく背伸びをする
出場するからには、優勝! トップをとりに行くぜ! と気合いを入れる
もう完全にテンションはヒーロー漫画の主人公だ
大会は、最初A・B・C・Eの中ホールにてトーナメント方式で試合を行い、上位4名なれば大ホール競技場での総当たり戦となる
魔力・魔術・魔道具は禁止但し剣気については該当せず
大ホールの入口に試合の組み合わせ表が張り出されようとしていたが、どうも大会役員の様子がおかしいなかなか張り出そうとせず紙を持つ手が震えている
「大丈夫ですか?」と声をかけると
「いえ、大丈夫です… 」とやはり震えている。
「早く貼れよ!」という怒号が聞こえ役員が貼ろうとすると
「ちょっと待って!! 」
栗色の長いストレートヘアをなびかせながら、生徒会長の4年生クリスティ・オーランドが大きな丸めた紙を持ってカツカツと足音を鳴らしながらこちらにきた
「どうやら、間に合ったみたいね、みなさんどうも手違いがあったみたい、あなた! その紙お渡しなさい! 」
大会役員の手がガタガタ震えながらギュッとトーナメント表を握りしめ立ちすくみその場にいた何名かの生徒が走り去っていくのが視界の端に入っていた
大会役員からトーナメント表を取り上げると
「ふぅ〜! 逃げても無駄なのにね
あ!そうそうまだ残っている生徒に言っておくわ
この件に少しでも関わっている生徒全て調べあげているからそのつもりでね
首を洗って待ってなさい」
かっこいい人だなぁ〜と見ていたらこちらを見て、近寄ってきた
俺の耳元に顔を近づけ
「貴方、リル・ジーザメリウスね
見守り隊ちゃんたちに感謝することね
見守りちゃん達のためにもいい試合するのよ」
と囁いた。
「見守り隊ちゃん?」よくわからなかったけど続けて
「ありがとうございます、頑張ります! 」
と答えたら
「んふ! いい返事ね、私も貴方の見守り隊になろうかしら、それと油断しないでね まだ仕掛けがあるかもしれない 油断しちゃあだめよ 」
と言ってまたカツカツと足音を鳴らしながら去っていった。
「なんとも、かっこいい色っぽいお姉様だな 」
「ああ、かっこいいでも俺はなんだかジーザメリウスの母上思い出したよ
全然似てないしタイプも違うけどなんとなく……な」
「さあ! リル!トーナメントちゃちゃっと勝って決勝トーナメントで戦おうぜ!! 」
「おう、負けないからな」
そういいながら俺たちはそれぞれの試合会場に足を向けた
1回戦、2回戦、3回戦と俺たちはそれぞれ問題なく勝ち進んだ
いよいよ、決勝トーナメントだとヨハンと喜んでいた
その時
Eホールで叫び声と騒いでいる声がした
人をかき分け行ってみると、剣をもち笑顔で立つアレクと左手を血だらけにしてエドモンド先輩が倒れていた
エドモンド先輩は救護室に運ばれ救護班の生徒に、かなりえぐられた血だらけの腕に「ヒール」をかけられているが 重傷なのと魔力量が足りないのとで傷が塞がらない
「エド先輩! どうされたんですか? 」
「アレクの後方から光が目に刺すように飛び込んできて思わず左腕で顔を庇ったところにアレクが思い切り剣をおろしたんだ 」
「 妨害行為ですね…… 」
「ああ……最後の大会だから悔しいよ」
痛みと悔しさで顔が歪んでいた
「ヨハン、救護班の生徒達と一緒に、アリス先生呼んできてくれ!」
「ああ、わかった!」
エドモンド先輩と二人きりになったのと人の気配がないことを確認して
「エド先輩、これから俺がすること絶対内緒にしてくださいというか忘れてください」
そういうと先輩は苦しそうな顔をしながらうなづいた
魔力をチャージし「ヒール」と詠唱した
えぐれた腕に七色の光が巻きつきみるみるえぐられた傷が塞がっていく
エド先輩はポカンとしていたが、我に返って
「リル、ありがとう!凄く感謝してる!今のは見なかったことにしたほうがいいんだな……お前がそう言うなら、今のことは、全て忘れるよ! 」
「ありがとうございます、先輩全て忘れてください」と二人で両手で握手した
まもなく、アリス先生を連れてヨハン達が帰ってきた
アリス先生は俺の顔を見て察したのか
「みんなで協力して「ヒール」を繋いだのね」
と苦しいフォローをしてくれた
「そうなんです、救護班の皆さんが頑張ってくださったので、その後僕のヒールでも効いてくれました」
とこれまた苦しい言い訳かなと思ったが救護班の生徒はほっとした笑顔だったのでほっとした
「それにしてもアレク……笑っていやがったな、絶対に許さない」
決勝は総当たり戦だ
2人とも絶対にアレクとはやる!
なにがあってもあいつには負けない
俺たちで最後の優勝決定戦やるぞ!
と大ホールに向かった。
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