第3話  領地へ

カロルの宿屋に滞在して3日目

この間に洋服や身の回りのもの等購入し、食事もやっと今朝からみんなと同じものが出されるようになった


何故か一緒にあの、ハリネズミが同じものを美味しそうに食べてる


「この子本当に変わってるよね 色もだし、普通ハリネズミって虫とか食べるんじゃないの?この前さ、虫あげようとしたらめちゃくちゃ嫌がって逃げ回ってたよ」

と、金髪の男 名前は、ティコ 可愛い顔にあった甘い声で話しかけてきた


「そうなんだよね。色が真っ白だからマシロって名前にした。」


ハリネズミの種類や色はよくわかんないし、この世界ではネットで検索して調べる事もできないからまあこんな種類のハリネズミなのかなって受け入れている


「マシロ…… どうして白いからマシロ? 」


と、3日目にして初めて青い髪の男 シファーの声を聞いた!

名前聞いた時もティコが教えてくれて横でコクコク頷いていただけなのに~!

少し戸惑いながらも


「マシロは、真っ白って意味だから」

あんまり説明になってない返答なのに? ? ? という顔をしながら またコクコク頷きながらマシロをツンツンしていた


無表情で無口で掴みどころのない人かという印象だったけどなんか可愛い人だな


「さて、そろそろ出発しようか」

ジーザメリウス辺境伯の声とともにガタガタ立ち上がる

宿屋のご主人と女将さんに丁寧に挨拶をして宿屋を後にした


カルロの町の入り口にある大きな木のまえで立ちどまり、

ジーザメリウス辺境伯が木に手を添えると木が光り大きなゲートが現れた


(す、すげぇ やっぱりここ魔法の世界なんだな 俺も魔法使えるようになるのかな)


と思いながら自分の手をみながらゲートの中を進んだ


ゲートの中を進むとカウンターがあり、カウンターから細身の男性がこちらにきた


「お待ちしておりました。こちらにどうぞ」


長い廊下に幾つか扉があり、その中の一番奥にある扉に馬を連れたまま案内される。

扉をあけると大きなダンスホールくらいの広さの 部屋があった


「ありがとうございました。お気を付けて行ってらっしゃいませ」

係員は、扉を閉めた


しばらくすると一瞬だけ耳がツンとした。


「ああ、着いたな」


「え? 着いた?何処に着いたんですか? 」


ジーザメリウス辺境伯は、俺の頭をわしゃわしゃしながらニヤリと笑って


「お前と俺たちの家」と言った


部屋の扉を開け、外にでると扉は、消えそこには 大きな木が立っていた。


「ここは、城の門だ。入口まで馬で行くぞ 」


ひょいと抱き上げられ馬に乗せられる


目の前には大きな城があるが結構な距離 広い庭園

ついつい、 キョロキョロしてしまう マシロは、ポケットの中ですやすや

そうこうしているうちに、城の門に着く

「おかえりなさいませ」

沢山の使用人が整列して出迎えている


「変わりないか? 詳しくは、後ほど聞く」


と、最前列で出迎えた紳士に荷物を預けながら声をかける


紳士の横に立っている年配の女性が

「旦那様こちらの方がお坊ちゃまでいらっしゃいますか?」

とニコニコしながら俺を見る


少し「お坊ちゃま」というのが恥ずかしい感じがしたが、ペコリと挨拶した


「リルだ よろしく頼む」


とひとこと言ってジーザメリウス辺境伯は、ずんずん城の中を進む


「さあさあ お坊ちゃまお疲れでしょう お部屋にご案内いたしますね

私は、カーラと申します。この城の統括侍女長をしております

何なりと遠慮なく仰ってくださいませ。」


カーラに案内され部屋に案内される 階段をあがり2階の部屋に通された


「え? こんなに広い部屋俺ひとりで使うんですか? 」


白と薄いグリーンを基調とした家具 ベッドも軽く3人くらい寝れそうな広さ


「こちらが、リル様の書斎でございます」

部屋にある扉をあけると続き部屋に大きな本棚と机 ソファとテーブル…

思わずポカンと口を開けてしまった


「こちらが お風呂と御手洗でございます  こちらがドレスルーム」

と次々扉をあけるカーラ


「あ! そうそう このふたりがリル様の専属の侍女 マーサとジェニーでございます」


「リル様よろしくお願いいたします」


赤いおさげの髪で背が高い女性が「マーサでございます よろしくお願いいたします」


栗色の髪をひとつに纏めた女性が「リル様 ジェニーでございます」

とそれぞれ挨拶してくれた


ついつい、アイドルの時のくせがでてしまい、満面の笑顔で

「よろしくお願いします!」と挨拶してしまった


マーサとジェニーは、か!可愛い!とか言って赤くなってる

でもカーラに「リル様 使用人に敬語は、使ってはいけませんよ」 と優しく注意された


でもね、アイドルしてたから やっぱり、ファンサの癖は、ぬけません


 マーサとジェニーが、そそそと俺に寄ってきた


「さあ、リル様 お体を整えましょう!」 と、いいながら俺を服をあっという間に脱がして浴室へ


「え! え! いや、いいから 自分でできるから! 」と精一杯の反抗をするが、この女子ふたりめちゃくちゃ力強い! ニコニコ笑いながら、あっという間にカラダの隅々まで綺麗にされちゃいました


(ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛〜!もうお婿に行けない!)

  髪の毛も綺麗にカットされ、仕立てのよい肌触りのいい白いシャツと黒いズボンをはかされた。


「あれ? マシロ お前も綺麗にしてもらったのか 」ベッドの上で 深い蒼い色のリボンをされたマシロがちょこんといた

マシロのカラダは、ハリネズミだけにトゲトゲだが不思議と触っても痛くない


「真っ白のハリネズミって珍しいですね。しかも手のひらにのせても痛くないし、 本当に可愛いですね。マシロちゃん」

マシロは、あっという間にマーサとジェニーに懐いたようだ

 

ふと、窓に映る自分の顔をみる。銀色の髪と蒼い瞳 アイドルだから髪を染めたり

カラコン入れたりしたから不思議と違和感ない。しかも、この「リル」実は、前世の俺 北斗の子供の頃に実はよくにている 

こんなにガリガリで痩せて無かったけどね


「お疲れでなければ御屋敷の中お散歩されてからお食事になさいますか?」

マーサの問いかけに頷き、マシロを抱いて部屋をでる


「御屋敷は、広いので全ては、ご案内できませんが少しずつご案内しますね」

そういいながら結構ハードにいろいろ案内してくれた。 食堂案内するとともにランチをひとりで食べた


ジーザメリウス辺境伯の書斎の前を通ると忙しなく人が出入りしていた

(しばらく食事は、ひとりかな…… ) はっ!子供みたいにさみしく感じてしまった!

いや、今は、子供だし…… いやいや中身は、20歳の記憶が〜! と、訳の分からない心の葛藤をしてしまった

「御用がありましたらこちらのベルを鳴らしてください」

部屋に戻るとベッドサイドのテーブルに置かれた小さなベルを手渡された

(こんな広い屋敷なのにこんなベル聞こえないだろ)


俺の心を読むように、

マーサが「すぐにまいりますので御安心下さい」ドキッ! わかりやすいのかな?顔にでてた? こわいよ!マーサ! 横でニコニコ笑っているジェニーもね


ソファに寝転びふと考えた この世界の言葉自然と理解できているけど読む事は、できるんだろうか?

 書斎に入っていくつか本をひろげてみた

 アルファベットをくずしたような文字だが、理解できる

書くことは?引き出しをあけると紙は、ある 机の上には、ペンとインク

 ボールペンやシャープペンシルは、無いようだ

ペンで自分の名前を書いてみる 日本語を書くように自然とスルスル書ける

これは、この体の元々の持ち主「リル」の記憶なのか、それとも俺の能力なのか


無作為にとった本の中の1冊に目がいった「初心者のための魔法 」

 

ふむふむ、STEP1 指先に集中して自分の属性をともす。

自分の属性? 属性 ペラペラと調べる  火・水・風・土・闇・光

ふ〜ん、俺は、どれなんだろ。指先を立て集中する

シーン と、何も起こらない 何度も、何度も、何度も〜! やってみたが同じ結果だった。

STEP1でいきなり挫折……

軽くへこんでたところに、ジェニーが部屋をノックをし、

 

「リル様 、お食事の用意が出来ました」と声をかけてくれた。


「今、行きます」と本を本棚に戻し食事にむかう

ベッドでスヤスヤ寝ていたはずのマシロもちょこちょこ歩きながらついてきた


食事は、肉がメインだがムニエル風の魚料理もあった


恰幅のいい料理人が

「私は、料理長のジルです。この領地は、海にも接していて大きな港があるので鮮度のよい魚が手に入るんですよ 好きなものや、食べたいものがあれば仰ってくださいね」 と満面の笑みで大きな声で声をかけてくれた


「ありがとう」俺も満面の笑みでこたえた


ここの人は、みんな笑顔で明るいな

食事は、ひとりでとっているが温かい使用人達に見守られ優しい時間になった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る