第2話 コントレール・ジーザメリウス辺境伯
劇場の階段のような広い階段下の玄関ホールに4人の大きな男達がうるさく入ってきた
「ほんっとに、 ここに人いるんですか〜? 」
長い赤い髪の4人の中でも背が高い男がキョロキョロと見渡しながら
とブツブツ言ってる
「なんだか 出そうだよね ってかココ出るでしょ」
金色のウェーブのかかった大きなピンク色の瞳をした男がなんともいえない嫌そうな顔で騒いでる
(なんか、アイドルグループみたいにキラキラした人達だな…………と思わず想像してしまった)
そんなふたりを無言でギロリと睨みつける
一際背が高く体がガッチリとした銀色の髪 深い蒼い瞳のその人
(なんか、この人だけ段違いにオーラが違うんだけど…………)
あ! 目があった ?
い?なんかこっちくる??
ずんずんと大股で階段を上り俺に近づいてきた
う〜!めちゃくちゃ圧すげー!なんかドラゴンに睨まれた黒ネズミ状態なんですけど
え!え!この人めちゃくちゃすげーイケメンじゃね 光が反射して銀色の髪が光ってるし、見つめられると吸い込まれるような深海のような蒼い瞳 スラリとした鼻筋 顔小さいのに体凄いんですけど…………
お…… 俺自分の前世で自分のこと肉体美なんて言ってたけど、ほんっとに申し訳ございませーん! 俺なんてまだまだのヘタレでした~!と土下座したくなった
そんな俺を腕組みながら、じっと見つめるイケメンさん
「おまえが、リアイラル ラーセル?」
なに〜!声まで低音イケボなんですけど〜!と思いつつ
「はい」とこたえた
俺から発せられたその声は、少し掠れているが変声期前の少年のか細い声だった
「お前の家の名前は、やたら長いな …………」
手を口元に寄せ少し考えたあと
「リル…… リルって呼ぶな 私は、コントレール・ジーザメリウス ポールステンシャル王国にあるジーザメリアス辺境伯だ」(自分も結構長い名前じゃん)と心で呟いたはずなのに、人の心を見通しているかのように フッと微笑んだ
「お前を迎えにきたのだが……
それにしても、凄い有様だな、まずお前を …… 」
グゥゥゥキュルルル!!
ぎゃああああ!恥ずかしい!腹の音ぉぉお
イケメンさん達も目が点になったかと思ったら大笑いしてるし!
「ハハハハ!ドラゴンのイビキかと思ったぞ!
しかし、この屋敷では、なにもできないだろう
とりあえず出発して宿屋かどこかで身なりも腹も整えるか
荷物は、あるか? ん? そいつは、連れていくのか?」
と、俺の破れ掛けのポケットを指さした
さっきの小さなハリネズミがポケットの中からウルウルした瞳で俺を見つめる
(か 可愛い~、あざといくらい可愛いな おい!)
ついつい、辺境伯に無言でコクコクうなづく
「フッ お前の友人なんだな」
ああ そうか お前この世界ではじめてできた友人になるのかな?
とポケットを優しくなでた
「さあ、行くぞ」
有無を言わさずジーザメリウス辺境伯は、俺の肩をつかんだ
この人について行って大丈夫なのか
と不安は、あるが肩に乗せられた大きな手の温もりがたまらなく心地よかった
ジーザメリアス辺境伯の黒い馬に乗せられた
後ろに先程の赤い髪と金髪の男それともう一人薄い青い髪の大人しそうな男がそれぞれ馬に乗りついてくる
(この人達のビジュアル偏差値ヤバイんだけど………… )
門をでて、辺境伯の腕の隙間から離れていく荒れ果てた屋敷が少し見えた
きっと、美しい屋敷だったんだろうな……
と思いながらふと思った
侍女長と一緒に暮らしていたはずなのに、何故あんなに屋敷が荒れ果てていて俺は、こんなにボロボロなんだ?
半年前に居なくなったからのレベルじゃないだろう
リルに前世の北斗の記憶が蘇ったとして、10年間のリルの記憶は、フラッシュバックのように俺に伝わってきたけど肝心の今のリルの意識は、どこにあるんだ?
北斗が蝕んでしまったのか?
う〜ん………… と色々な疑問点を考えこんでいると、頭の上から
「なんだ リルそんなに腹減ってるのか?
まあ、まず風呂はいって服を着替えてからだな」
と ニヤリとジーザメリアス辺境伯が笑って話しかけてきた。
(そうだな、とりあえず自分をなんとかしなきゃあな)
そう思いながら前を向くといつの間にか町の入口とそこにある大きな木が見えてきた
カロルという町についた町の入口には、大きな木が立っていた
なんだか見覚えのあるような木
でも木なんてどれも見たような感じだもんなと差程気にとめず町へと入って行った
意外と道などは、整備されており、煉瓦造りの建物が並んでいた
その中でも、一際大きな3階だての建物の中に入った
扉の割には中が意外と広い入り口に受付カウンターがあり、奥に食堂
4~5人が食事できそうなテーブルが10席ほど奥には、厨房とカウンターその前に10席ほどのカウンター席がある
大きな声で騒ぎながら食事する男達で満席のようである
「リル! リル!」
赤い髪の男に肩を叩かれ 自分が呼ばれていることに気がついた
(まだ どうもこの名前になれないな…… )
「さっきから呼んでるのに 何呆けてるんだ ? 部屋にいくぞ!」
腕を掴まれ、階段をあがる 2階は、客室3階は、住居になっているようだ
2人部屋に赤い髪の男に連れられ入るとジーザメリウス辺境伯が椅子に腰掛けていた
「今から風呂に行く前に、先にやっておくことがある」
ずっぽり被っている俺のフードを取るとパチンと指を鳴らした
光に包まれたが、何がおこったかは、わからない
ふと 部屋にかかっている鏡をみると、黒い髪、黒い瞳の俺が、辺境伯と同じ銀色の髪に深く蒼い瞳にかわっていた
「お前は、今日からリル・ジーザメリウス 俺の息子な
訳あって今までわからなかったけど実の息子が見つかったという事で………… 」
「え?なんかめちゃくちゃ雑な設定ってか 本当にむす……」
バカン!!!と 話終わる前に殴りとばされる赤い髪
「カリアス! 」
あ、この人カリアスって名前なんだ やっと名前がわかったと思わず顔が綻んだ
俺の反応を察したのか カリアスが 立ち上がりながら
「そういえば名前も言って無かったな
すまん 俺の名前は、カリアス・ヴェルナー だ
カリアスって呼んでくれたらいいよ」
そう言ってカリアスは、俺の小さな手を両手で包みながら満面の笑顔で握手した
そうこうしている間に、他のふたりも合流し、風呂へと向かう
おお〜!めちゃくちゃ広い 銭湯みたいじゃん
銭湯みたいな広い風呂に4人だけ 貸切にしたのかな そうだよな仮にも貴族が平民と一緒に入るわけないかと思うやいなや
ザバー!と思い切りお湯を掛けられ ゴシゴシ思い切り辺境伯直々に洗われる
荒っぽい手つきだが、それでもなんだかこそばゆいなんともいえない気持ちになった
そのあと、いきなり普通の食事をするのは、よくないかもしれないとミルク粥のような食事をさせられ、後のことは、よく覚えていないくらいしらない間に眠りについた
本当に一日に色々なことがありすぎて疲れた
ヘビーすぎる一日だ
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