トップアイドルの俺が魔力過多の廃王子に転生しました
瑠璃
第1話 ココはドコ?俺は、誰?
「ん うーん…… 」
何か埃っぽい 喉の奥がカサカサする ほのかに瞼に光が射して目が覚めた
「あれ?俺確か昨日崖から落ちて死んだはず…… 」
そう俺、「星崎 北斗」は、 歌を出せば毎回バルボード1位!
ドラマや映画にも役者としても、主役級 としてオファーが絶えない
まさにノリに乗っている名実ともにトップアイドル! だった
昨日までは…… の話だけどね
昨日、新作のサスペンス映画のアクションシーン撮影中に、崖から落ちてしまった!
だーかーらー! あんな所で撮影するなんて反対したんだよ〜! くそ!
でも、待って あれ?俺 もしかして生きてる? それともここ天国?
まわりを見渡すとそこは何だか古くさい洋館の1室のようだった
ベッドも固いし、蜘蛛の巣だらけの埃だらけのこの部屋は何年も放置されているようだ。
ふと自分の手が視界に入った
あれ?なんだ この薄汚いガリガリの小さな手
思わず身体中をペチペチ触ってみる……
めっちゃくちゃ貧相な子供の体…………
「え? まじ? これ俺の体? ヤバイ へこむわ~!」
ダンスやジムで鍛えた俺の肉体美はどこに行ったんだよ〜!
それになんだか体が痒い!
体は痒いし、頭は、混乱
「北斗、待て! 冷静になろうぜ! 先ずここはどこなのか ? そして俺は、一体どうなってるんだ!」
と、声に出して叫んでしまった
とりあえず、自分が今どうなってるか確認したい
鏡を探さないといけないし、ここが一体どこなのか確認する為にも動くか!
埃っぽいベッドから飛び降りた。
ドアを開けると古い荒れ果てた御屋敷の2階のようだ
シーンとした静かな屋敷には、誰もいない
幾つかある部屋をあけても誰もいない 埃をかぶった家具だけがどの部屋にもさみしそうにあるだけだ
埃だらけだけどとてもしっかりした造り 家具の細工も見事なものだった
「磨けばすごいんじゃない?」と実は潔癖症な性格がムズムズする
次の部屋を開けると白いシーツを掛けられたものが部屋の真ん中におかれていた
シーツを埃がたたないようにそっとめくる
そこには、金色の素晴らしい細工で縁取られた大きな鏡があった
「すげ〜!」と驚くと同時に、その素晴らしい鏡に映った姿にそれ以上に驚いた。
バサバサの伸ばしっぱなしの黒い髪 ボロボロの布切れを纏ったような服
ガリガリのやせ細った貧相な男の子が映っていた
「……」
言葉がでないとはこの事 言葉がでないかわりに思わず鏡に手をのばした
その時 眩い光が鏡から溢れ俺を包み込んだ
「まぶし………… 」とつぶやいた途端この体の持ち主の記憶が俺の中に溢れかえった。
あの日崖から落ちて、おちて、おちて………… 暗闇をつきぬけ俺は、
ズメイルインペリアル帝国皇帝ポーラリス カラリス ズメイルインペリアル
皇妃ジュリア カラリアナ ズメイルインペリアルの1人息子
第一皇子「リアイアル ラーセル ズメイルインペリアル」として生を受けた
3年前 父ポーラリス皇帝と母ジュリア皇妃の乗った馬車が崖から落ち還らぬ人となり、皇帝の座は瞬く間に父の従兄弟であるサタームス ポリゼ ズマイルカルプスに奪われ
残された俺は生命を狙われ乳母でもある侍女長メイと共に城から逃げ出し父と母の秘密の離宮水晶宮まで辿り着いた
メイはふっくらとしていて性格は、とても優しく穏やかだ
そうだな動物でいうとパンダのように何だか可愛く癒される優しい人だ
父と母を失った悲しみは到底埋まるものではないがメイは精一杯の愛情で俺を包んでくれた
半年前、街に買い出しに行くと言い残しそれから帰ってこない
残った芋や果物を齧りながら毎日彼女を待ち続けた
10歳の僕には真実から目を背け考え無いようにしていたことだが
20歳の前世の記憶が蘇った今ならわかるきっと彼女はきっとサタームスに囚われてしまったのかもしれない
そして、今の俺には悔しいがどうすることもできないことも
ぎゅっと胸が締め付けられるようになった瞬間 鏡からうっすら声が聞こえる
「彼が来てくれるから、信じて…… 優しく 強く そして幸せに .…… 」
声が掠れる様に消えたと同時 強い光とともに鏡が光の塵のように舞い散り消えてしまった。
「うひぁぁぁ」と変な声が出てしまった
足元で何かガサガサ動いてる……
な…… ナニ? もしかしてでっかいG?
恐る恐る下をみると小さな可愛いハリネズミがいた
「…… ん くぅぅぅ!めちゃくちゃ可愛い〜!」
思わず仰け反ってしまうくらい可愛い ナニこの可愛いフォルム 可愛い瞳
ああ、もうさっきから落ち込んだと思ったら可愛い~とか言って気分がジェットコースター状態なんだけど……
とか思っていたら下から
ガターン!
「おい!いるか!迎えに行けって言われたから来たぞ!
いるならサッサと出て来い!」
よく通る低音のイケボが屋敷の中に響きわたる
もしかして「彼」なのか?
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