第11話【危うい。放っておけない】
学校の教室で俺は晴也に問い詰められている。
「……なあ、新」
「なんだよ」
「正直に言え、彼女できたろ」
「だーかーらー、彼女なんていねぇって、いたらお前と教室の端で話してねーよ‥‥」
「そらそうだけどよ‥‥あ、じゃあ女友達は⁉」
「女友達ぃ? ……あー‥‥うーん…………いない」
「なんだよ、今の迷った感じ」
「…………何でも」
(俺とあいつは友達なんかじゃねーよ…………友達、なんかじゃ……)
何て言うのだろう。俺達の関係。
(隣人……にしては変だよな、俺達は、いったい‥‥なんなんだろう)
「新? おーい」
「……悪い、考え事してた」
「ったく、お前はいつもそうやって‥‥お、授業始まるぞ」
「ああ‥‥」
次の授業は‥‥学活。
「さて、もう五月‥‥六月にある体育大会の出場メンバーを決めたいと思う」
先生の一言に俺は思い出した。
(あ、体育大会忘れてた‥‥)
「種目はクラス代表リレー、団代表リレー、大玉転がし、綱引き、騎馬戦、借り物競争。そして最後の目玉‥‥団代表サッカーだ」
そして先生は俺と晴也を指さし
「高橋と音花はサッカーな」
「ですよねー」
「…………はぁ」
(サッカー部だからって‥‥適当かよ‥‥)
まあ、この先生(担任)は、体育系ベテランなので‥‥多分大丈夫だろう。
帰宅後の夕食にて。
「白雪、おまえ体育大会の種目どうなった?」
「私は借り物競争に団代表リレーです」
「へー‥‥」
(ん? 団代表リレーって、参加生徒は確か‥‥クラスの五十M走上位三人…………速っ)
正に才色兼備。顔よし、勉学よし、運動よしとは。
「流石だな‥‥」
「そういう音花さんはどうなのですか?」
「俺は‥‥団代表リレーとサッカー‥‥」
「……音花さん、あなたの方が凄いではありませんか」
「俺は勉学普通の平凡だよ」
「学年二百人中の二十位は平凡とは言いません」
「……あれ?」
因みに俺の五十M走のタイムは六・七である(晴也は六・六)。
「…サッカー、出るのですね」
「う、うん‥‥」
「……無理はしないで下さいよ」
「一応敵なんだがなぁ‥‥まあ、無理はしない‥‥もう看病されないように気を付けるよ」
「…………はい」
夕食を食べ終わり、白雪は皿を洗っている。
皿くらい自分でやると言ったのだが、片付けまでが料理ですから、と一蹴された。
どんだけ料理にこだわってんだよとは思うが、してもらってる立場なので何も言えない。
「…………なぁ白雪」
リビングから声を掛ける。
「なんですか」
「礼って言っても、ここまでしてくれる理由ってなんだ?」
気になっていた。聞いてみたかった。ただそれだけ。
すると白雪は、少し不満そうに言う。
「……心配なので」
「心配? 俺が?」
白雪は頷いて言葉を続けた。
「音花さん、すぐに無茶して危なっかしいですし、放っておけませんから」
「…………俺は子供か‥‥?」
「だいたいそんなイメージです」
「はぁ‥‥」
なんか期待していた自分に呆れてくる。
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