第8話【そんなんじゃない】
「…………楽しそう」
(……朝より、今の方が輝いていますよ? 音花さん、私との朝食は楽しくなかったのですね)
そして不思議な悪寒を感じる俺なのであった。
「ううっ‥‥?」
「どした?」
「いや、何か悪寒が‥‥」
「? ‥‥変なこと言ってないでもう一点取りに行こうぜ」
「お、おう‥‥そう、だな‥‥行くか‥‥」
切り替えていこう。まだ試合は終わっていないのだから。
その後、結果的に勝利した。一点取り返され、その後に晴也が時間ぎりぎりで決めた。
「はぁー、Bチームの先輩たち粘り強すぎだろ‥‥」
「だな‥‥俺らも見習わないと」
「ああ、負けるのが決まるのは終わった時。それまではまだ負けじゃない」
「…………どうした新、なんかあったのか?」
「‥‥? どうしたいきなり」
「いやー‥‥なんかいつもより生気を感じるというか‥‥」
「‥‥そうか?」
「うーむ‥‥なあ、いつもと変わったことないのか?」
「変わったこと‥‥? ‥‥あ」
「お、なにかあるんだな?」
「な、何もねぇよ‥‥」
「昔から嘘下手なのは変わらねーのな、お前」
「‥‥あーっ、この話終わり!」
「おいおい、話してくれもいいじゃねぇか」
「…………また今度な」
「へいへい」
流石にこいつは駄目だ。こいつ、下手に関係を繋ぐから‥‥、一度話が広まると止められないんだよな‥‥。それに、もし大きい声で話されでもしたら‥‥。
‥‥ゾッとするな‥‥。
「おいどうした音花、高橋」
「部長‥‥」
「聞いてくださいよ部長、こいついつもより生気ありません?」
「あー、たしかに」
「何かあったのかって聞いたら、顔赤くして『何もねぇよ』って、絶対隠してますよ!」
「‥‥赤くしてないし嘘もついてない」
俺の抵抗虚しく、部長は考え込んだ。
「なるほどなぁ‥‥おい音花」
「はい?」
「お前、彼女できたのか」
「…………はぁ⁉」
「それだ!」
「お前は黙ってろ!」
興奮している晴也をゲンコツで黙らせる。
「なんでそうなるんです⁉」
「だってなぁ、生気が溢れてる。今までと違う。顔を赤くする。いる奴の反応だと思うぞ?」
「いやそんな‥‥こと、ない‥‥です!」
「その言い淀みはなんだよ‥‥」
「‥‥っ」
「まあ、今はここまでにするが‥‥いつか紹介してくれよ?」
「だから、そういうのじゃないですって‥‥はぁ」
制服に着替え、晴也と共に校門に近づいていくと、何か人が集まっていた。
「ん‥‥? ああ、そういうことか」
「えっ? なんだ?」
「ほれあそこ」
晴也が指さしたところに目を凝らすと、校門で白雪姫が立っていた。
(…………何やってんだあいつ)
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