第6話

「ようこそ。ポリア学園へ」

「……ど、どうも」


アイエルから指定された場所にやってきた俺。

……ていうかここに来てまだ2日しか経ってないのに、俺1人で行かせるなんて。

一応、簡単な地図は書いてもらってはいたが。……まあ、とりあえず目的地に着けたからいいか。

ポリア学園とかいう学校の校門を通ると、校庭で生垣のようなものを手入れしていたと思われる、20代くらいの若い女性がこちらに駆け寄ってきた。

「ラシアス様から話は聞いています。なんでもあの優等生、アイエルの彼氏だとか」

「…………は、はぁぁぁぁぁ!?」

 そう言われ、突如として大きな声を上げてしまった。

「……あ、す、すいません……」

 すぐに口を押え謝る。

「いえ、大丈夫です。……お名前を聞いても?」

「あ、ああ。澁谷悠汰です。……あの、ラシアスからそんなことを聞いたんですか?」

「そんなこと、というと?」

「……彼氏、とかなんとかって」

「……ああ。違いますよ、アイエルからです」

「あんの野郎ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 一体、どう考えたらそうなるのか聞きたい。まだ出会って二日しか経ってないんだぞ?

「はははっ。冗談ですよ」

「……へ?じ、冗談?」

「はい。やっぱり、アイエルから聞いていた通り面白い方ですね」

「……そ、そうですか」

 なんだ冗談だったのか。びっくりしすぎた。

「では、ご案内します。ついて来てください」

「あ、はい」


「——なるほど。あの優等生、アイエルの……ふんふん。分かった。では、改めて入学を歓迎しよう。ようこそ、ポリア学園へ」

 建物内に移動し、ここはどうやら校長室のような部屋らしい。

目の前には、やや大柄な男性が何かの書類に目を通した後、こちらを歓迎してくれた。

「あ、ありがとうございます……」

正直、ちょっと緊張している。

本当にこの学園に入学した、ということでいいのか?

「私はこの学園の管理者である、ノールだ。入学早々で緊張しているとは思うが、すぐに友達なんか出来るさ」

「は、はぁ……」

「少し時間を貰って、この学園について簡単に話そうか」



 ——この学校での校則や、授業についてなどを教えてもらった。

 どうやらこのポリア学園は、魔法とか超能力だとかの基礎を学ぶ学校らしい。

 その後、日本で言うところの定期考査をクリアし、最後に卒業認定試験をクリアした者が、アイエルがいる学校へと進学するチャンスが与えられるらしい。

 ここの教員みたいな人も言っていたが、アイエルがいる学校は100人受けたとしても2人受かるかどうかくらいのレベルらしい。つまり、とんでもないくらいの優等生になれるってわけ。

 落ちた人は、別な学校へと進学するらしい。

 とりあえず、能力とかは特に指定されているわけではないため、自分が好きな能力を選んで習得するみたいだ。

「……と、いった感じだが、何か質問は?」

 ノールが説明し終わった後、俺は何か質問したいことがあるか考えてみる。

「俺みたいな人間って、他にいるんですか?」

「そうだな……まあ、いることはいるよ」

「……なら良かった」

 少なくとも友達になれそうでよかった。

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その名も奇人 minonライル @minon13

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