二章
第5話
次の日。
今日は、何月何日何曜日なのだろう。時間は、朝の9時くらい。(日本時間)
「はい、紅茶です」
「あ、ありがとう」
キッチンから戻ってきたアイエルは、紅茶を差し出してくる。
「……美味い」
確かに、昨日ラシアスが言っていた通り、この子はかなりデキる子だ。
昨日の夕飯の時もそうだったが、豚料理がめちゃくちゃ美味しかった。まるで、高級レストランで食べているかのような感覚だった。(行ったことないけど)
「ふぅ……」
異世界に来たのは良いが、俺は何をしたらいいのだろう。
ここはアイエルに訊くのが早いか。
「なあ、アイエル。俺がやるべきことって、なんなんだ?」
「やるべきこと、ですか?」
俺が問うと、少し考えるように唸る。
「昨日も言いましたが、最終目標はこの世界にいる魔女を倒すこと。けれど、魔女たちはいつ、どこで、どうやって現れるか分かりません。……私の通っている学校では、魔女の研究をしているんですよ」
「研究?」
「はい。いつ、どこで、どうやって出現するのかを研究しているんです」
「なるほど。……というか、どうして俺が魔女を倒さなきゃいけないんだ?」
一番疑問なのは、どうして俺がやらないといけないのか。
「私たちは、幾度となく魔女が出現するタイミングを見計らっては倒そうとしてきました。ですが、一体も倒すことができませんでした。……そこで、人間の力だったら倒すことができるのではないか?というラシアス様の考えで、昨日の朝にお願いをしたんです」
「……人間の俺がか?とてもじゃないけど、倒す力は持ってないよ」
俺は一般人だ。そこそこ運動はできるが、格闘技経験はないし、ましてや武器を使ったこともない。
「そもそも、魔女ってどんな感じなんだ?」
「魔女」と一言で言われても想像がつかない。もしかしたら超かわいい女の子かもしれないし、超能力をふんだんに操る人なのかもしれない。
「私が見てきたものだと……結構、可愛い女のが多かったですね」
……よっしゃ。少なくとも、怖い存在じゃないことは確定。
内心ではガッツポーズをとっているが、表で出さない方がいいだろう。
「……なるほど。じゃあ、魔女が出てくるまで、俺は何をしてたらいいんだ?」
こう言っちゃなんだが、時間つぶしの材料が欲しい。例えばゲーム機とか。
まあ、この世界についてはまだ何も知らないし、ラシアスに訊きに行くって言う手もあるだろう。それに、この地域を散策するって言う手もいいな。
「そうですねぇ……この街を散策するのもいいでしょうし、何なら私の学校に通ってみませんか?」
「えっ?アイエルの、学校?……待てよ、つまり、ラシアスの学校てこと?」
「はい。ラシアス様には話は通しておきますので心配しなくて大丈夫です」
「……」
なぜか分からんが、アイエルの学校に通う流れになってしまった。
……まぁ、これはこれでいいか。魔女がどんな女の子なのかも知りたいし、この世界の人たちと友達になってもみたいし。
その名も奇人 minonライル @minon13
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