第3話
外に出てみると、やっぱりここは俺が知っている地域ではない。
人間のような見た目でも、なぜか尻尾が生えていたり、中世ぐらいの服を着た人なんかもいる。
あと、一番気になったのは売っている物たち。
「……なんだこれ」
見たこともないフルーツだ。バナナのような形をしているけれど、青色だ。とてもじゃないが食べたいと思えない。
「これは、この辺ではよく食べられてるんですよ。試しに一つ食べてみてください」
「……えぇ」
さすがにこんな色のバナナは食べたくないよ。
そう言おうと思ったが、アイエルが既にそのバナナを買ってしまっていた。
「…………はぁ」
仕方ない、食べるか。
皮をむくと、中身は皮と同じ青色。
「…………」
匂いは特にしない。
「ほら、食べてくださいよ。美味しいですよ?」
「……じゃあ、いただきます」
こう言っちゃアレだが、食欲は湧かない色だ。……でも、アイエルは美味しいって言ってるし、とりあえず目をつぶって食べてみることにした。
「…………ん」
食感は完全にバナナである。味も、普通のバナナとそんなに変わらないかも。
「どうですか?」
「まあ、美味しいけど……でも、なんでこんな青いの?」
味は良いが、この見た目がどうしても食欲をそそらないのだ。
いや、黄色のバナナを見すぎてしまっているから、そんな思考になるのかもしれないが。
「青い理由は、やはり気候が関係しています。この地域は、以外にも寒い地域なんですよ。だから、こんな青っぽい色をしてるんですね。もっと暖かい地域に行けば、赤っぽい色をしています」
「へぇ……」
なるほど。という事は、日本で考えれば北の地域という事なんだな。東北とか北海道とか。
逆に沖縄の方に行けば、赤っぽい色をしていると。
さらに市場を歩いていると、日本でも見たことがある煎餅や動物の肉など……売っている物はかなり種類があった。
買おうと思っても、お金を持っていない。
いや厳密には現金は少しだけあるが……ここは異世界なんだ。使えるとは思えない。
「ええと……今日は、これにしようかな」
ふと隣を見ると、アイエルは何かの食材を手にした。
「それなに?」
「ああ、これは豚肉ですよ。今日、豚肉料理しようかなって思いまして。食べますよね?」
「え……あ、うん」
豚肉料理?それって、どういうこと?
「もしかして……今日の夜ご飯?」
「あ、その通りです。私、一応料理できるんで」
「…………」
あ、そっか。メイドって言ってたっけ。
その後、豚以外にもいろいろ食材を買った。
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