第2話

「もう一度言うけど、一から説明してくれよ。三から説明されても分かんないっての」

「そ、そう言われましても……上から、そう伝えて来いとしか言われてないんですよぉ……」

「…………はぁ」


 居間にて。

 テーブルを挟んで、対面にはアイエルが、どうしたものかというように頭を抱えていた。

「まず、君はどうしてここにいるんだよ」

「えっとぉ……私、あなたの使いなんですよ。分かります?」

「分からない」

「……」

 全くもって、話が見えてこない。

 俺の使いだって?というか、ここはどこなんだい?

「……とりあえず、俺は澁谷悠汰しぶやゆうた。高校2年生だよ。君は、アイエルって言ったっけ?」

「はい!」

「オーケー。じゃあ、いくつか質問をさせてくれ。まず、ここはどこなんだよ?」

「はい。ここは、ガウンド国の、ウィンディーっていう首都です。他の所とは違って、結構栄えてるところなんですよ」

 というと、日本で言うところの東京とかにあたるんだな。

「食堂も多いし、人口も多いです。あとは……なんと言っても、この国の主導者が多く集まっている所ですね」

 ほう。やっぱり、位置的には東京とかなんだな。

「なるほど——って!ここ日本じゃないのかよ!?」

 うんうん、と話を聞いていたが、冷静になって考えてみる。

 ここは、日本ではない。というより、地球でもない。

 ……えぇ?これって、異世界とかいう世界なのかーい?

 まさかとは思うが、もしかして転生した感じ?

 いやでも、死んだ覚えはないし……はたまた、「この世界を助けてください!」的な女神と会った記憶もない。

 ただ目の前には、やや胸がデカい少女が困った顔をしているということ。

「うーん……」

 唸りながら頭を抱える俺。全然整理ができない。

「とりあえず、ここが地球じゃないってことは分かった。それで……君は、俺の使い、って言ったか?」

「あ、は、はい。そうなんです」

 いや、そうなんですと言われてもよくわからない。

 使いという事は、弟子みたいな感じなのだろうか。

「なんというか……あ、そうです!メイド、メイドです!」

「……めいど?」

「はい!裕汰さんの、いわばメイドです!」

「…………」

 なるほど。この子は、そういう立ち位置なのか。

 そう言われると、なんというかいろんなことが頭に思い浮かんでしまう。

 あんなことや、こんなこと……まあとりあえず、どんな状況なのかを飲み込めるようになってきた。

「なんとなく分かりましたか?」

「あー、そうだな。だけど……俺は一体、ここで何をすればいいんだ?」

「朝言った通りです。魔女を倒してほしいんです」

「魔女ねぇ……そいつらはどこにいるの?」

「私にもわかりません。なんせ、神出鬼没な感じですから」

「ふーん……とりあえず、外に出てみるか」

 この街はどんな感じなのだろう。

 そんな好奇心でソファから立ち上がり、玄関の扉を開けた。


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