その名も奇人

minonライル

第1話

なぜ朝は、こんなにも憂鬱なのだろう。

また今日も、眠い眼をこすりながら学校に行き、面白くもない授業を受け、昼を挟んでまた授業。放課後になったと思えば、部活動。

正直、しんどい。学校に行くことが、とてもめんどくさいと思うようになってきた。

社会人になったら、もっと辛いんだろうなぁ……そう思うと、学生の間はまだマシなのかも。


「……はぁ」

 夏も終わり、過ごしやすくなってきたある日。

 俺はいつも通り、やや遅い時間に起きた。

 時計を見ると、時刻は7時30分。

 いつもは、ここから髪を整え、制服に着替え、ちょっとした朝食を摂り学校へと向かう。

「……起きるか」

 まだ寝ていたい。そう思っていても、今日は学校がある。

 俺は気怠い体を起こし、カーテンを開ける。

 今日も晴れている。けど、少し空が赤いな。ま、いっか。

 ベッドから降りて部屋のドアを開けようとする——。

 ガチャッ。

「……うん?」

ドアが、勝手に、開いた……?

待て待て待て。いや、勝手に開くわけないだろ。だって、この家には俺しかいないんだから。

 もしかして、泥棒?……いや、もしそうだとしたら、なぜこんな朝早くに?

 泥棒って普通、深夜とか、皆が寝静まった時に来るものじゃ……?

 そう思い、俺はドアからすぐに離れ身構える。

 と。

「……あ、起きましたか?」

「……………は?」 

 予想外のことに、俺は目を丸くする。

「ええと…………だ、ダダダダレデスカ」

 と、口にしたのは、片言の日本語みたい言葉。

「あ、自己紹介……まだ、でしたね」

 部屋に入ってきたのは、多分俺より年下の少女。銀っぽい髪に銀の瞳。それに加え、妙に胸が大きい。胸元が少し開いており、そこから少しだけ胸の谷間が見える。それにだ、この美しい美脚。そこにはなんと、黒いタイツが備わっている。

「あ、あの……どうしたんですか?」

「……はっ!?」

 い、いかん。この子について、まだ何も知らないんだった。

「えっと……私の名前は、アイエルって言います。その……突然の出来事で、頭が混乱しているのは承知しています。だけど……」

 と、そこまで言うと、なぜか急に口ごもるアイエル。

 どうしたのかと首を傾げていると。

「あなたには、やってもらいたいことがあります」

 先ほどまでとは違い、少し口調を鋭くしたアイエル。

「この世界にいる魔女を倒すのです」

「………………は?」

 もう一度目を丸くした。

 この子は、一体何を言っているのだろう?というか、どうして俺の家にいるのだろう?

「…………は?」

 三度目。

 いや、三回目は少し考えてから発した。

「……あれっ?納得、いってない……?」

「当たり前だろ」

「……あ、アハハ……ッ」

 俺が即答すると、アイエルは苦笑いを浮かべた。

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