発見
「ここでもたついていたせいで子の廃村に迷い込んでしまった子供たちが亡くなってしまった。そんな事態になるのは避けたいからね……まぁ、僕に何か出来るわけじゃないけど」
「出来ることなんてこれから増やしていけばいいのよ。それにしても、ロワくんって目が死んでて表情筋も一切動かないから、何か熱い思いとかはないのかと思っていたけど、ちゃんと子供は助けたい!って思うんだね」
「……当たりまえでしょう。人が死ぬところを見るのは気持ちいいものじゃないからね」
僕の評価、信じられないほどに悪くない?
「あっ!?ごめん、なんか、今、めちゃくちゃディスちゃったねっ!明らかに私のワードチョイスは失敗していたよねっ!誉め言葉のつもりだったから!」
ちょっとだけしょんぼりとした僕へと慌てた様子のアンシアがフォローしてくれる。
「別に、気にしていないから大丈夫だよ。それにしても、アンシアは何か感じる?」
「えっ?私は……そうだね。特に何も感じないかな。さっきの魔物の群れの襲撃だって特に何も感じなかったわ。なんか、こう……ちょっと、きな臭いような感じもあるかなぁ」
「あっ……」
自分の疑問にアンシアが答えてくれていた中、何かを見つけた僕は足を止める。
「どうしたの?」
「いや……あそこ」
そんな僕へと疑問の声を投げかけてきたアンシアに対し、一つの方向を指さす。
僕が指し示す先にあるもの、それはおそらくこの廃村に迷い込んでしまったと思われる子どもたちが閉じ込められている何もないところにポツンと置かれた鉄の牢屋だった。
「あっ!?ほんとだ……良かったわ、まだ生きていたのね」
「そうだね、本当に良かった」
僕はまず、子供たちが無事に生きているところを発見出来たことに対して、ほっと一息をつきながら、次に周りを見渡す。
「……魔物はいる?」
探していたのは魔物だけど……僕じゃ無理だ。見つけられる気がしない。
「……わからないわ。気配は何もないけど……ただ、ね」
先ほど、襲撃の方を仕掛けてきた魔物たちも気配等は一切なかったらしい……だが、それでも、彼らは僕たちへと襲い掛かってきていた。
「それでも、行かないわけにはいかないわ。あそこに私たちの助けるべき子供たちがいて、彼らは助けを呼んでいる」
ここからは遠くて僅かにしか聞こえていないが、鉄の牢屋の中にいる子供たちは大きく口を開けて助けてと叫んでいる。
「そうだね。何かあっても僕のことは気にしなくていいから。勝手にわちゃわちゃやっているから。何だったらこの場へと置き去りにしてさっさと逃げて帰ってくれても構わない。僕は勝手に帰るよ。僕の不死性は絶対的だから」
「……うん、わかったよ。何かあれば、非情な決断を下してみせるよ」
「お願いね」
僕とアンシアは警戒心を高めながら、駆け足で牢屋の方へと近づいていく。
「助けてっ!」
そちらの方に近づけば近づくほど、牢屋の中にいる子どもたちが上げている助けを請う声が大きくなってくる。
「こっちに来ちゃ駄目っ!!!」
だが、ある一定ラインを超えた瞬間。
子どもたちが口にしていた言葉が一変する。
助けを請う声から、退避を促す声へと。
「えっ?」
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