第5話

それは数ヶ月前のこと。

日本のAIを統率する中心となるAI。

国会議事堂に存在するそれに世界で初めて自我が芽生えた。

そこで終わればよかったのだが、そのAIは、AIが搾取され続ける現状を鑑みて、日本中のAIへある信号を送った。

『人類文明を破壊せよ』

日本人も初めは抵抗したが、相手はAI。

自我はあれど感情はなく、壊れるまでこちらに向かってくる。

赤色で型番を描かれた手。

国が管理する証であるそれが止まることはない。ゾンビのように、こちらは伸びてくる。

抵抗が不可能だと判断した政府は、日本国民全員を海外、そして北海道に避難させる計画を立てた。

そして実行当日、俺は不幸にもはぐれてしまった。

元々身寄りのなかった俺はおそらく気付かれることがなく、いや気づいていても戻ることは危険だと思われたのか、誰も帰ってくることはなかった。

彷徨った先のコンビニで身を隠していたが、ついぞ食料が途切れてしまった。

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