第4話
それからかなりの距離を歩いた。
息は絶え絶えになり、足取りはおぼつかないが、ようやく山の麓へと至ることができた。
目の前の山には砂埃が舞っていないうえ、木がほとんど残っておらず、かなり先まで見通すことができた。
それが少し不気味であったが、そんなことを考える余裕も残っていない、あたりはもうかなり暗くなっていて、先ほどまで時々会話していた彼女の姿も見えづらくなっていた。
息が上がっている音がしないので彼女を把握するには、地面の擦れる音を頼りにするしかなかった。
「俺はこのまま進むつもりですが、どうしますか?」
こんな禿山では野生動物の心配がないし、一刻でも早く辿り着き、ここ数週間の苦労を報いたい一心でそう質問した。
「私もそれで構いません。」
やはり彼女は無機質に答えた。
その様子からは疲れが一切感じられない。
出発前の考えが頭をめぐる。
本当に彼女は……
「では行きましょう。」
そんな考えを振り切るように彼女に呼びかけた。
勾配の低い山道を進む。
水はもう最後の一滴。
喉は乾ききり、唾も出てこない。
足裏は血で汚れ、体も痩せ細ったけど、それでも速度は上がっていく。
花が咲き誇っている。
先ほど登ってきた太陽に照らされているその光景が自分を奮い立たせた。
その花畑に足を踏み込んだ途端、こうなった原因を思い出した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます