デスナイト再び
迷宮の奥に進んでいたレオナルドの前に、再びあの巨大な影が立ちふさがった。全身を黒い甲冑で覆い、暗い眼窩の奥から冷ややかな光を放つデスナイト。その鋭い剣が静かに彼を見据えていた。
「また会ったな…」
レオナルドは低く呟き、前回とは異なる覚悟で剣を構えた。デイモスの力が体内に流れ込んでいる今、自分はあの時の自分ではない。この契約によって得た力が、勝利への道を切り開くはずだと信じていた。
デスナイトが動いた──圧倒的な速度で間合いを詰め、一瞬にして重い剣を振り下ろしてくる。レオナルドは反射的にその一撃を受け止めようと剣を上げたが、衝撃で地面が砕けるような力が手に伝わり、腕が痺れた。
(やはり、まだ圧倒的な力だ…!)
しかし、彼には新たな能力があった。デイモスの力によって強化された身体は、前回よりも確実に耐えられるようになっていた。デスナイトの攻撃を受け流しながら、レオナルドは瞬時に間合いを詰め、自らの剣を叩きつける。
刃と刃がぶつかり合う中、レオナルドは冷静に相手の動きを観察していた。かつてただ圧倒されるばかりだったが、今はデスナイトの動きを追い、攻撃の隙を見極める余裕が生まれているのを感じていた。
「俺は前の俺とは違う。簡単には倒されないぞ…!」
その言葉と共に、彼は力を込めてデスナイトの防御を打ち崩すように剣を振るった。しかしデスナイトもただのアンデッドではなく、戦士としての技巧を備えている。レオナルドの一撃をいとも簡単に受け止め、鋭い反撃を繰り出してくる。
レオナルドは瞬時にその刃をかわしながら、心の中で歯を食いしばった。確かに力は増したが、デスナイトの一撃一撃には相変わらず凄まじい重さがあった。何よりも彼は「意志を持つアンデッド」であり、闘技の技術や経験が備わっている。その意味では、普通のモンスターとは比べ物にならない強敵だ。
(だが、ここで諦めるわけにはいかない…!)
レオナルドはデスナイトの攻撃をいなしつつ、次第にその動きを見切り始めた。デイモスから得た力を引き出し、より速く、より鋭く反応する。かつての人間だった頃を思い出すように、体の奥から戦闘本能が湧き上がってくる。
少しずつ、デスナイトの甲冑には小さな傷が増えていく。確実にダメージを与えられるようになったのだ。レオナルドは再び剣を振り上げ、渾身の一撃を放とうとした──が、その時、デスナイトが突如凄まじい闇のオーラを解き放った。
「くっ…!まだこれほどの力が…!」
その圧倒的な闇の力に押され、レオナルドは一歩退いた。デスナイトは明らかに本気を出し始め、彼を圧倒しようとする勢いを増している。まだ、この相手を倒すには力が足りないと悟ったレオナルドは、悔しさを抑えつつも慎重に後退を決意した。
(次こそ、必ずお前を倒してみせる…!)
そう心に誓いながら、レオナルドはデスナイトとの間合いを取り、再び闇に身を潜める。彼にとってこの戦いは、ただの力試しではなく、生きるために、そして人間に戻るために必要な通過点であることを実感していたのだった。
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