第36話 霧島とマヤ

栗雛霧谷side

「……」


 栗雛は居間のソファーに座って携帯でマヤにメールを送る。


「どうしたんだ?」


 拓也は栗雛に声を掛ける。


「(必要な荷物マヤちゃんに預けているから届けて貰うようにメールしたんだ)」


 栗雛は手話で拓也に伝える。


「栗雛君の部屋は部外者は入れられないから受け取り場所で渡して貰うしかないかな」

「?」


 受け取り場所という言葉にハテナを浮かべる。


「面会室見たいな部屋でしか話すことや受け取りは出来ないようになっているんだ」

(監獄かな?)


 栗雛は不思議な表情を浮かべる。


「形としては男子部屋だからね」


 拓也は言う。


「男女間で何かトラブルが起こらないようにしているからね」


(マヤちゃんとは10年間は一緒にいたけどトラブルがなかったはずだな)


 栗雛はマヤちゃんのやりとりを思い浮かべる。


「クリエイター学園に通う以上はマヤさんとは離れて生活するようになるからね」


 拓也は無表情で言う。


(マヤちゃん離れも出来るようにしておかないとな)


 栗雛は無表情で考える。


「?」


 携帯が反応振動して確認する。


「……」


 栗雛はメールを確認する。


(ええと、[今すぐ届けます])


 マヤのメールを読み終えると拓也の携帯がなり確認する。


「(どうしたんですか?)」


 栗雛は手話で拓也に伝える。


「管理室から呼び出し来たから行ってくるね」

「……」


 拓也は無言で頷く。


「後、テレビで動画見たり、ゲームも出来るからやっていても良いからね」


 拓也は栗雛に伝えて管理室に行く。


「……」


 栗雛は笑顔で頷く。拓也は部屋を出て行く。




 霧島拓也side

(さあて何だろうな)


 拓也は管理人室に向かうと銀髪の女がいた。


「ああ、どうも」

「栗雛様を返せ!!」


 突然殺意の籠った声で銀髪の女が拓也に言ってくる。


「マヤ様、すいませんが自分は誘拐したつもりはないんですが」


 拓也はマヤに冷静に言う。


「大事な物を渡しに来たんですから栗雛様を出せ!」


 マヤは殺意を向けて拓也の瞳を見る。


「代わりに自分が預かって霧谷君に渡すよ」


 拓也は殺意を向けられても平然と言葉を返す。


「私から栗雛様に渡したいの」


 マヤは殺意を強めて拓也の瞳を覗き込む。


「規則なので会わすことは出来ないです」


 拓也は怯むことなくマヤの瞳を見返す。


「おい、クソガキ息の根を止められたくなければ栗雛様を呼べ!!」


 マヤは片手を上げて戦闘体制に入りながら栗雛の瞳を覗き見る。


「だから規則なので」


 














「[マヤちゃん、なでなでタイム]」

「!?」

 マヤの頭を誰かが撫で始める。

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