第16話 燐海マヤは動き出す(過去side②)
[過去side(幼少期)]
マヤはめんどくさい様子で霧谷の住む場所に着いた。
「……ここに住んでいるの?」
着いた場所はかなりの年期の入ったボロアパートである。
「……」
私はリカの調べた番号の部屋のブザーを鳴らす。
「……反応がない?」
マヤは冷静にドアノブを回す。
「開いてる?」
ドアをゆっくりと開ける。
「……」
開けると殺風景な感じで丸いテーブルにタブレットPCだけが置かれていた。
「……」
テーブル近くに子供が横になっていた。
「おい、しっかりしろ!!」
マヤは大きい声で言う。
「……」
「……」
子供は疲れている様子で眠っていた。
「……大丈夫そうだな」
子供の顔色もそんなに悪くはないようだ。
「……」
携帯電話を出してリカの名前を押す。
「もしもし、現場に着いたぞ」
『状況は!?』
電話越しからリカは焦った声で言う。
「寝ています」
マヤは冷静に寝ている子供の様子を見て答える。
『大丈夫なの!?』
「はい、子供は大丈夫そうです」
マヤは冷静に回りを見ながら答える。
『良かった』
電話から安心した声が聞こえた。
「とりあえず子供の安否確認は出来たから私は帰って良いですか?」
マヤはリカに聞く。
『ちょっと待ちなさい!』
リカは怒った声で言う。
「何ですか?」
マヤは何でリカは怒り口調なのか疑問に思いながら聞く。
『子供が起きたら状況を聞きなさい!!』
「嫌です」
マヤはめんどくさい表情で言う。
『今月で解雇なんだから最後の会社命令ぐらい聞きなさい!!』
怒り口調でリカに言う。
「会社命令でも嫌です」
マヤは即答する。
『……繋ぎの派遣出来る人がいないからせめて3日間は様子を見て貰いたいの』
リカは怒りを抑えて言う。
「それは、そちらの都合」
『要求を言いなさい』
リカは力のこもった声で言う。
「……追加で報酬をいただきたいです」
マヤは携帯を録音ボタンを押して話をする。
『……俺の一存では決められない』
リカは小さい声で言う。
「それでは、私は帰り」
『何とかするから!お願い!!』
リカは咄嗟に言葉にする。
「……わかりました。では3日間だけ滞在します」
マヤは面倒くさそうな表情で言う。
『追加報酬を出す以上はマヤが責任を持って対処しなさい!』
リカは大きな声で言う。
「……わかりました」
マヤは無表情で言う。
「何かありましたら連絡します」
マヤは携帯電話を切る。
「……さあて」
マヤは寝ている子供を見る。
「私は空気が読める子は実に好みだよ」
寝ている子供にマヤは笑顔で言葉にする。
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