第15話 人生最大の人選ミス(過去side①)
「霧谷、あなたの過去は知っていますが……」
悲しげな表情で言う。
「(僕の過去の人生は回りから見たら不幸に見えると思いますね)」
手話で栗雛はリカに伝える。
「(僕は生まれつき声が出せなかった。幼少期には親が気付いたら蒸発しましたからね)」
栗雛は手話でリカに伝える。
「……霧谷家に残されたのはタブレットPCだけだったんだよね」
「……」
栗雛は頷いた。
「……(親が自然蒸発した日に僕はタブレットPCの動画に夢中になっていました)」
栗雛は黙々と手話でリカに伝える。
「霧谷はそこからどうしたんだ?」
リカは栗雛の瞳を見て聞く。
「……(あんまり覚えてませんね)」
栗雛はリカの瞳を見て、手話を使い伝える。
「(幼少期から、僕はすでに感情が壊れていたのかも知れませんね)」
栗雛は悲しげな表情を見せて手話でリカに伝える。
「霧谷、君は幼少期に運良く、俺の父の会社の動画コンテストで大賞をとったからな」
リカは無表情で栗雛の悲しい表情と瞳を見る。
「(幼少期の動画コンテスト大賞がきっかけで僕の人生は変わりましたね)」
栗雛は笑顔になり手話でリカに伝える。
[真龍リカside]
(幼少期の動画コンテストのお陰で霧谷に出会えて俺は今があるから嬉しい)
「……」
(ただ、俺には一つだけ過去に人生最大のミスをしてしまった)
怒りを抑えながらリカは考える。
(人生最大のミスは、やはり燐海マヤを霧谷の付き人にしたことだろうな)
過去を思い出し始める。
(俺はどうして、燐海マヤを霧谷に派遣してしまったんだ!?)
リカは頭を無意識にガリガリとかき始めて思い出す。
「?」
栗雛はどうしたんだろうという表情でリカを見ている。
[過去side]
昔の話だが、俺の会社の動画コンテストで大賞に霧谷の動画が大賞になった。
大賞になった霧谷の素性調査をした結果、かなり状況が良くなくて緊急性があったので、誰か手が空いている者を派遣しろと言ったのが最大の失敗だったな。
少数精鋭の会社だったのもあり、手が空いていたのは燐海マヤぐらいだった。
過去の燐海マヤは無愛想で機械的であり仕事も最低限しかこなさない。
燐海マヤが担当した仕事のクライアントからクレームしか来ていなかった。
燐海マヤは何度注意しても直らなかった為、会議で話合いの結果、解雇になる予定だった。
首の前に栗雛のところに行って生活のサポートをしろと命令した。
マヤの返事は「嫌です」と言われた。
俺は「何でだ?理由は?」と聞いたら。
「何でクソガキの面倒を見なきゃ行けないんですか」
マヤはダルそうな表情で答えた。
「緊急時で動ける人がいないし、変わりに行ける奴がマヤしかいないんだよ!!」
リカは真剣な表情でマヤを見る。
「……他の人を」
「必要最低限の安否確認だけで良いから頼む!!」
リカはマヤに頭を下げる。
「……わかりました」
マヤはダルそうな表情で言う。
そして、マヤは霧谷の家に派遣されることになった。
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