第12話 うちは柳谷(やなぎや)ミヤ。趣味は栗雛霧谷を強奪?すること。

 [栗雛霧谷side]

「……」


 僕は現在、何故かお姫様抱っこをされてどこかへ運ばれていた。


「……」


 そして、運んでいる人は動画編集しているパートナーの柳谷やなぎやミナ。


(ミナちゃんは綺麗な深紅の髪でスタイルが魅力的な先輩だな)






「……着いたぞ」


 ミナは冷たい声で栗雛をゆっくりとおろした。


「(ありがとう)」


 栗雛は笑顔でミナの目を見て手話でお礼をする。


「……ああ」 


 無表情でミナは栗雛の目を反らして言う。


「(ところでここはどこかな?)」


 栗雛は手話でミナに聞く。 


「今、くりちゃんがいる場所は第2生徒会室だよ」


 ミナは無表情で答える。


(生徒会室が人が来なさそうな場所にあるんだな)


 栗雛が連れて来られた場所は建物の裏側である。


「(なんで生徒会室?)」


 手話で栗雛はミナに聞く。


「……リカ会長が待っている」


 ミナは無表情で言う。


「……(ありがとう)」


 栗雛は笑顔で手話をしてお礼をする。


「……ああ」


 栗雛はドアを開けようとする。


「カプリ」

「!?」


 不意に首の左側をミナに噛まれる。


「(どうしたの?)」


 栗雛は不意にミナに噛まれて驚いて手話で聞く。


「……何となくだ」


 ミナは顔を赤くしながら栗雛の目を反らす。


(どういうこと)


 栗雛は良くわからない様子で顔を赤くしているミナを見る。


「……まあ、気にするな」


 ミナは顔の赤さがなくなり無表情で栗雛を見る。


「(了解、気にしないでおくね)」


 栗雛は笑顔で言う。


「……リカ会長が待ってるよ」


 優しい表情を見せて言う。


「(ミナちゃんは一緒に入らないの?)」


 栗雛は手話でミナに聞く。


「……姿


 ミナは無表情で栗雛に言う。


「(ミナちゃんの不器用で優しいところは好きだよ)」

「!!」


 栗雛の手話を見て、ミナは突然びくっとなり顔を赤くする。


「(ミナちゃんどうしたの?)」


 栗雛は調子が悪くなったのかなと思ってミナの瞳を見る。





[柳谷ミナside]

(や、やめて、うちの瞳を見ないで)


 ミナは不意に栗雛から好きだと言われたことに心が悶えていた。


「……くりちゃん、うちは大丈夫だから早く入って」


 必死に悶えたい気持ちを隠してミナは栗雛に言う。


「……」


 栗雛は頷き、生徒会室に入った。






(よしよし行ったな)


 ミナはゆっくりと呼吸を整える。


(よしよし)


 突然ミナは呆けた笑みを浮かべてポケットから何かを取り出した。


(運んでる最中にくりちゃんのハンカチをいただきましたね)


 クンクンと匂いを嗅ぎ始める。


(これでくりちゃんの着用済みの衣類、下着コレクション……そしてハンカチも増えて?)


ハンカチの匂いを嗅ぐと違和感がした。


(なんだ?)


 うちがいつも嗅いでいる栗雛の匂いと違って甘い匂いがしていた。


「……?」


 ハンカチを良く見ると中に紙があった。


「……なんだ?」


 紙に書いてある文字を読む。













「[残念でした!!これは私のフェロモンたっぷりの燐海マヤちゃんのハンカチでした]!!」

 

 ミナはビリビリに紙を破き、ハンカチもビリビリに破いていた。





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