第11話 幼馴染みとお嬢様は休戦したら、栗雛霧谷が強奪されました。

 [栗雛霧谷side]

「……」


 シアは満足した表情を見せて栗雛の指から離れた。


(シアちゃんは会うたびに僕の血をねだってくるな)


 栗雛はシアを見て考え始める。


(動画の編集パートナーであり[ヴァンパイアクイーン シア]チャンネルで配信をしている)


(僕の血はシア曰く美味らしい)


 栗雛は笑顔でシアの様子を見る。


「あ、きりやちゃん」

「?」


「(シアちゃんどうしたの?)」


 手話でシアに聞く。


「ついでに首もいただき」

「!?」


 シアは突然がぶりと栗雛の正面の首元をガリガリと強めに噛み始める。


「おい、害虫!」


 愛美は栗雛からシアを引き剥がす。


「愛美ちゃんもマーキングしたんだから別に問題ないでしょ」


 栗雛の前首に血のこびりついたキスマークが新たにマーキングされていた。


「ふふふ、抜け駆けは許さないからね愛美ちゃん」


 シアは作り笑顔で愛美の瞳を見る。


「先に抜け駆けしたのはビッチメイドが先だよ」


 愛美はシアの瞳を見返す。


「ビッチメイドはわたくしたちが後で絞めるので大丈夫だよ」


 シアは作り笑顔で言う。


「「……」」


 2人は作り笑顔でお互いに瞳を覗き込んでいた。


(仲良さそうだな)


 栗雛は2人の様子を見て微笑ましく見ていた。


「「……」」


 愛美とシアはお互いに一歩ずつ近づいていく。


「……休戦しない?」

「……そうね」


 愛美に近づき栗雛に聞こえない声で言う。


「きりちゃんは現状、あたしたちを動画を作るパートナーとしか思ってないはず」


 愛美はシアに小さな声で言う。


「……そうね、きりやちゃんはわたくしたちを異性として認知してませんからね」


 疲れた様子でシアは愛美に言う。


「そもそも、どうしてきりちゃんは異性としての接し方や羞恥心が欠落してるのは何でなの?」


 シアは気になって愛美に聞く。


「そりゃあ、原因を作ったのはビッチメイドだろ」


 愛美はシアに言う。


「……ビッチメイドはきりちゃんにどんな教育をしたの?」


 シアは気になり愛美に聞く。


「確かビッチメイドがオーダーメイドして作った異性との接し方マニュアル+リアルで実戦レクチャーしていたのよ」


 愛美は言う。


「……具体的にどんなマニュアルなの?」


 シアは聞く。


「……」


 愛美は顔を赤くする。


「愛美ちゃん、何で顔が赤いの?」


 シアは愛美の目を見る。


「……ええとね」


 愛美が言葉を濁し始める。


「気になるから教えて!」


 シアは愛美に詰めよる。


「まず(ぴーーー)なことをして」

「!?」


 シアは顔の熱が上がる


「後、(ぴーーーー)なプレイをしたり」

「!!?」


 さらにシアの熱がこもり始める。


「さらに(ぴーーーー)な体制でシチュエーションをしたり」

「!!!?」


 シアは熱がこもり過ぎてしゃがみ始める。


「……あのビッチメイドお仕置きの追加ですね」


 シアは顔を赤くしながら言葉にする。


「そうだね」


 愛美は一呼吸おき答える。


「……きりちゃん?」


 栗雛がいた場所には誰もいなかった。


「……やられたな」


 シアはしまったという表情を見せる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る