第6話 目が覚めたら

 [栗雛霧谷side]

「……」


 栗雛はゆっくりと目を開ける。


「がぶり」

「!?」


 不意に何かに耳を摘ままれた感触に栗雛は驚く。


「!?」


 目にあたる光が眩しく栗雛の視界が慣れない状態になる。


「はむはむ」

「!?」


 耳元を再び何かに摘ままれた感触になり栗雛は驚き確認をする。


「……?」


 確認をするとマヤが耳元を口ではむはむとハムスターみたく甘噛みをしていた。


(何をしているんだ?)

「え?マーキングですが何か?」


 栗雛の考えていることをマヤは言葉にする。


(マーキングって?)

「害虫対策です」


 マヤは作り笑顔で栗雛に言う。


「……」


 栗雛はジト目でマヤを見る。


「ついでに首元にもマーキングを」

「?」


  栗雛は首元を確認すると赤い何かが付いていた。


(これは何?)

「私、マヤのキスマークですよ」


 マヤは自分の唇を指でさす。


(マヤちゃんは社会的に僕を殺したいのかな?)

「社会的にではなく


 マヤは作り笑顔で栗雛の目を見て言葉を強く言う。


「!?」


 栗雛はマヤに膝枕している状態に気付き身体を起こそうとする。


「はいはい、まだ横になってて大丈夫ですよ」

「!?」

 マヤは起きるのを止める。


「それに今起きると私の胸の谷間に埋まりますね」

「……」


 栗雛はおとなしくなる。


「……別にそのままハグして胸のやわ」

「……」


 栗雛は話題を変えるために口をパクパクとする。


「別にこのまま襲っても」

(僕の人生が詰むだろう!)


 心の中で栗雛は叫ぶ。


「乗組員は、私の信頼の置ける部下ですので、ヘリであったことは絶対に見てみぬふりをしてくれますのでご安心を」


 マヤは作り笑顔で殺意のこもった声で言う。


「「……」」


2人の乗組員は無言で頷いていた。


(安心できないし、今も動画配信してるんだよな?)

「もちろん配信しています」


 楽しそうな声で言う。


「……」


 栗雛は口をパクパクする。

 

「お嬢様達の関係性は壊れませんし動画編集のパートナーでもありますからご安心下さい」

(大丈夫なのか?)


 お嬢様達に動画を配信している以上どこかで仕事上鉢合わせてしまうので気まずい表情を栗雛は見せる。


「あ、栗雛様には言っておきますが

(え?どういうこと?)


 栗雛は良くわからない表情でマヤの瞳を見る。













「本日付けで燐海マヤはお嬢様達とは友からライバルになりましたので」


 カメラ目線でマヤは言う。


(あのー僕がお嬢様達と動画編集とかするのが今後めちゃくちゃ気まずいんですが)


 栗雛は疲れた表情でマヤを見る。


「栗雛様はいつも通りで大丈夫ですよ」


 マヤは笑顔で栗雛の瞳を見る。


「栗雛様、そろそろ着きますので下りる準備をしますよ」


 マヤは外を見て言う。


(ところで僕はどこに連れて行かれてるの?)

「目的地はあそこです」


 マヤが外から見ているのを栗雛は確認する。


(あの建物は何?)

「学校ですよ」


 マヤは笑顔で答える。


「?」


 栗雛はわからない表情を見せる。


「これから栗雛様はSSS社が管理する私立高校に入学になります」

(なんで?)


 栗雛はマヤの瞳を見る。


「行けばわかります」


 マヤは笑顔で言う。


「……」

「もしも、逃走したらヘリでの私と栗雛のラブラブ動画を[戦乙女マヤ]チャンネルで世界に配」


(逃げません!!)

「素直でよろしい」





(マヤちゃんは長い銀髪で凛々しいな)

「……」

 栗雛は無意識に考える。


(長身でモデル体型、胸も大きく美しいという言葉が言えるぐらいに回りの人が目を引くレベルだからな)

「………」


(早くマヤにも良い人が見つかりますように)

「…………」


栗雛は無意識にマヤのことを考えていた。


[燐海マヤside]

(うううううう恥ずかしい)


 マヤは顔をめちゃくちゃ赤くしていた。


(無意識に霧谷は私のことを考えるのが……)


(鈍感力が高すぎる霧谷に気付いて貰うために頑張らないと)


心の中でマヤは気合いを入れた。

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