遭遇
幸せな気分で王妃の部屋を出たセリアラだったが、すぐに冷や水を浴びせられる気持ちになった。
自分の(姫の)部屋へ戻る途中で、国王の兄と、その側近である伯爵の2人に遭遇したのだ。
国王の兄「おや? 姫。このような場所で会うとは、奇遇だな」
セリアラはこの2人が苦手だった。
とはいえ、今のセリアラは少女姫の影武者なのだ。
少女姫はこの2人とも仲が良さそうに話していた。自分もそのように振る舞わねばならない。
少女姫姿のセリアラは笑顔を浮かべて2人に挨拶した。
少女姫姿のセリアラ「おじさま、伯爵さま。ご機嫌うるわしゅう存じます。こちらに来ていらしたとは知りませんでしたわ」
伯爵「たまたま用事がございましてね。姫様もご壮健そうで、なによりでございますな」
セリアラは顔を上げて2人を見た。
2人とも一応笑顔を浮かべているが、セリアラの目には、2人の顔は怖く映った。
伯爵「これからどちらへ向かわれるのですかな?」
少女姫姿のセリアラ「自室に戻って、本日はもう休もうかと思っておりました」
伯爵「ふむふむ。いつも通りですな?」
少女姫姿のセリアラ「その通りですが…。何かあるのでしょうか?」
セリアラは2人の気配に何か違和感を感じたような気がした。
もしかして、影武者であるとばれた? 疑われている…? それとも、自分の苦手意識が作り出した妄想?
だが、2人が何かを追求してくるよなことは無かった。
伯爵「いえいえ、何もございませんとも。姫様、どうぞ良い夢を」
少女姫姿のセリアラ「はい、ありがとうございます、伯爵さま。それでは失礼いたします。お休みなさいませ、おじさま、伯爵さま」
国王の兄「うむ…。ではな」
セリアラは挨拶を済ませると、気持ちは早く逃げたい一心だったが、早足にならないよう不審がられないようゆっくりと歩いてその場を去った。
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