セリアラの魔法(2)

その後数日にわたって、セリアラと少女姫はこの魔法を色々試してみた。

その結果分かったのは、この魔法を解く方法は、セリアラが元に戻るよう念じることだった、という事である。


少女姫「これってすごいことですよ、おねえさま! ふつう、持続系の魔法は、魔力が尽きるか、眠ったり気絶したりすると解けるそうなんです」

セリアラ「そのようですね…」


剣士の中には筋力を増強する魔法が使える者も多い。近衛兵もほとんどの者がそういった魔法を使えるが、彼らの魔法は、魔力が尽きたり気絶したりすると解除されてしまうのである。


少女姫「なのにおねえさまの魔法は、眠っても解けなかったんですよね?!」

セリアラ「はい、そうです…」


試しにセリアラは、夜寝る前に少女姫の姿に変身して、そのまま眠ってみたのだ。

そうしたら、朝起きても変身したままだったのである。

(気絶したらどうなるか、は試していない。さすがに殴るわけにはいかないので)


少女姫「これは、ふつうの影武者には出来ないことですよ!」

セリアラ「いえ、そんなことは…」


セリアラも最初はこの魔法が使えるようになったことを無邪気に喜んでいたのだが、どうやらこの魔法は普通以上らしいと気付いて、今は少々気後れしていた。


少女姫「お父さまもお母さまもとてもお喜びになるでしょう」

セリアラ「そうでしょうか…?」

少女姫「もちろんです!…でもお知らせするまでは、今まで通り秘密にした方がよさそうですね」

セリアラ「そ、そうですね…!」


・・・


少女姫が言ったとおり、国王と王妃はセリアラの魔法をとても喜んだ。

そして通常の影武者以上のことが出来るかもしれないと考え、この魔法が使えることを秘密にするよう(両親であるデシアラとイズにも伝えないよう)厳命したのであった。

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