2人の関係

少女姫はセリアラのことを「おねえさま」と呼ぶが、2人は本当の血のつながった姉妹ではない。

少女姫は王族、セリアラはただの庶民である。


そもそも2人の年齢は同じ。セリアラの方が生まれるのが数日早かっただけである。

しかし数日の差とはいえ、セリアラの方が年上なのは事実。そこで、どうせ姉と呼ぶなら「おねえちゃん」ではなく、王家の人間らしく丁寧な言葉を使うようにと幼い頃から指導され、「おねえさま」と呼ぶようになったのである。


・・・


王族や貴族は、子供が生まれると、乳母をつけるのが習わしである。

少女姫の乳母には、セリアラの母であるデシアラが選ばれた。


デシアラの夫であるイズは、王宮の庭を任されている庭師の一人だ。イズの家系は昔から王宮で働いており、王家からの信任も厚かった。

そこで、少女姫が生まれる少し前にセリアラを出産していたデシアラが、乳母に選ばれたのである。


その関係もあって、セリアラは少女姫と一緒に王宮で育てられた。

立場上、セリアラは少女姫の専属侍女という地位だったが、少女姫はセリアラのことを実の姉のように慕い、セリアラの方も(立場をわきまえつつも)少女姫のことを実の妹のように可愛がっていたのだった。


・・・


少女姫が乳児を卒業してからも、デシアラは少女姫の世話役・教育係として少女姫と関わり続けた。

今でも教育係筆頭であるデシアラは、少女姫に対しても遠慮なく叱るため、そういうところは少女姫も苦手としていたのだった。

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