第67話 もう一つの彼の顔
おびただしい数の魔物が奇声を発しながら村へと向かってくる
「思ったより多いな 渓谷で卵でも育てていてそれが孵ったようだな・・・・ ふ〜っ」そうため息をついた後セラは
「デュー!!」と彼のドラゴンを呼んだ
「ロイはアリスを頼む 合図を出したらアリスを俺のところに連れてきておくれ」
「わかった任せておけ」
セラはあの海の女神にもらった剣を抜き魔物の群れに向かっていった
話には聞いていてもセラが魔物に対峙し戦う姿を見るのはアリスは初めてだった
セラ・・・・ 精霊王様・・・精霊のみんなお願いセラを守って
そうアリスが願うと金色の光がセラに向かって空から降りてきて彼を包む
「アリス・・・」
倒しても倒しても湧いてくるように魔物が現れる
「くそっ!キリがないな・・・」
その時空が黒く包まれた
「デュー!きてくれたか ちょっと手伝ってくれ」
「ああ、主…… 任せておいてくれ 根源のものをちょっと焼き払ってくる」とデューは渓谷の方に向かって行った
「こっちはルー闇の精霊お前手伝ってくれ 俺が切った魔物を闇へと呑み込んでもらえるか」
「ああ、お安い御用だ」
セラが詠唱しながら剣を構え魔物たちに向かって剣を振るった途端白い炎の渦が巻き上がり魔物たちを巻き込んでいく
ルーは巨大な闇のホールを空中に作り炎の渦の中の魔物を吸い込んでいく
「ルー すごいな 素晴らしいよ」
「セラ、ありがとう」
本当にルーすごい ずっと隠蔽しか使わせてなかったんだけどなんだか申し訳なかったな・・・とついアリスは反省してしまった
渓谷の方からゴワッとデューが口から炎を出し大きな炎が舞い上がった
「ロイ!アリスいくぞ」
セラの合図とともに渓谷へと向かう
渓谷にはやけ焦げた無数の卵と黒い瘴気がぶすぶすと広がっていた
「アリス 」セラはアリスを抱き抱えた
「いまだ、あの時のように浄化するんだ」
そう言われあの時のように手を広げる
すると今回は渓谷全体は大きな光が雨のように降り注ぎ渓谷だけでなく村全体を包み込み黒いもやはすべて消え去ってしまった
「みんなお疲れ様 アリスも怖くなかったか? 大丈夫か? 」
いつもの過保護なセラに戻ってる・・・・
「大丈夫よ セラの方こそ怪我なかった」
「ああ、大丈夫だ デューもありがとうな」
「いやいつでも呼んでくれ・・・・ところで主 その剣だが・・・海の奴にもらったのか・・・」
「ああ、わかるか 海の女神様にいただいたんだ 今日初めて使ったのだがすごい剣だな」とデューに見せた
「ふーん」とデューは少し機嫌が悪そうに頬をぽりぽり掻くと
自分の鱗を爪先につけセラのオリハルコンの剣に鱗を差し込んだすると剣がデューの鱗を飲み込み金色の光を放ってまたもとに戻った
「うわっ!デュー びっくりするだろう 何をしたんだ」
「いや、海の力だけでは心許ないからな 我の力も入れておいた」と機嫌よく話をする
「では、人間どもが怯えておるようだし我も帰るとするか」
「ああ、ありがとう」
デューを見送り後を振り返ると村長と村人たちが恐る恐るこちらを見ていた
「ああ、皆さん怖い思いをいたしましたね
もう大丈夫ですよ ご挨拶が遅れました
私は今度領主になりましたセラ・ロイ・ド・エトワール大公 こちらは私の婚約者アリス・キャラウェイ・アズールレーン 今後ともよろしく頼む」
「領主様! ありがとうございます」
「あ、そうだエリィもう大丈夫でしょう
みんなに声をかけて」
私がエリィに頼むと風の精霊たちが戻ってきた
「あ・・・風が吹いている」
「お父さん見て風車が動き出したよ」
と子供達の歓声が響き渡った
「渓谷に瘴気が残っていたようでそこに魔物が卵を産み付け育てていたのが風の精霊たちに影響したようです」
「魔導具が動かなかったのもそのせいでしょうか」
「そうだね、でも後で私が念の為見てあげますよ」
「いえいえ、そんな領主様にそんなことさせられません」
「村長さん、いいんですよこの方は魔導具をいじりたいんですから」
「え?そうなんですか?」
「コホン、アリス余計なことは言わなくてもいいよ」
「ふふふ」
その夜は、村の人たちに歓迎され宴をもよしてもらった
セラも久しぶりに魔導具を触ったり修理したりしてご機嫌な夜を過ごしたのだった
アリスもセラの今まで見たことのない一面を見ることができた旅の始まりとなったのだが、結局他の街でも村でも瘴気を浄化したり魔物を倒したりしたりしたので 当初の変装してこっそり視察作戦は失敗してしまいました
ただ、セラは沢山の魔導具を久しぶりに修理したり、新しい魔導具も閃いた!と喜んでいたので、まあいいかなと思いつつ1週間の領地一部だけだったけど視察を終了したのでありました
そして、領地に帰ると意外な人たちが領地に来ていたのでした
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