第32話 剣術大会 PART2
トーナメントBの第一試合いきなりクレアのお兄様クリストファーとジュリアス·ローレンスの試合だ
ジュリアスは、1年であっても王宮騎士団長を父に持つ実力者
誰もがクリストファーが苦戦するのでは、とおもわれていたのだが呆気なくジュリアスは、負けてしまったのである
しかし、クリストファーの日頃の努力を知るものそれに対してジュリアスの最近の日常を知る者達は、当然の結果だと思っていた
ジュリアスは、俯きあるきながらも来賓席前で止まると父の方をチラリとみた
彼の父、王宮騎士団長であるザファ・ローレンスは、息子の方は、見ずにただ無言でその隣で始まっていたトーナメントAの第二試合が始まるのをみていた
父の様子を見て彼は、逃げ去るようにその場を去ってしまった
「ねえ、アリス気がついてると思うけど」
「なに?カレン?」
「婚約者やパートナーのいる人みんな剣にリボン巻き付けてるよね」
「あ、そうみたいだね」
誰が流行らせたのか自分の髪色のリボンを想い人からプレゼントされ剣に巻き付けている
中には試合会場でリボンにキスをして想い人に愛情をアピールする選手もいる
「それでみんなリボンをねだっていたわけだ! なんだか可愛いわね」
とカレンがうれしそうに笑う
先に出場していたノアも黒いリボンをつけていた
セラお兄様も、この前のアレはそういう事だよね
そう思うとなんだかこそばゆい気分になった
闘技場全体に黄色い声が上がった
トーナメントAにノアとフェリックス王子
トーナメントBにセラお兄様の姿が見えたからである
セラお兄様は、はじめてアカデミーで剣を持つのでみんな興味津々だ
「ずっと研究室にこもっているのに……」
「血筋と本人の潜在能力でここまできたとしてもこれ以上は、無理だろう」
とほとんどの人が口にしていた
そう言った声とは別にお兄様の美丈夫な姿に黄色い声があがっていた
「静」のセラお兄様「動」のノア そしていまマリアとの「純愛」で盛り上がっているフェリックス王子
アカデミーでも人気をわけている3人の試合だから観客席も盛り上がるのは仕方ない
あ〜そうだ、人気が凄いといえば「うさちゃん」ことテリウス様 被っていた殻を外してから女生徒だけでなくなぜか騎士系男子生徒にまで追いかけまわされるという事態に……
今日もこんな人混みこないのかなーと思いきや
「うさちゃん」実はクレアと私の真ん中にフード思い切り被って座っています
「テリウス様……大丈夫ですか」
「うん、アリスとクレアの隣にいたら安心」
とフードの下からチラリと可愛い笑顔が見えた
く~!!!うさちゃん可愛い
こっそり闇の精霊ルーを呼び
「テリウス様に隠蔽をかけてあげてとお願いする」
「あ、セラ! 」
先にトーナメントBの試合がはじまるのかお兄様が移動してきた
こちらに気がついたのか笑って本当に小さく手を振った
「セラ様は、剣にリボンつけていらっしゃらないのね」と誰かが口にした
「じゃあ、まだセラ様はフリーなのかしら」
と女生徒たちがキャキャと話する
お兄様がくるりと後ろを向くと、美しく長い髪がひとつに纏められていてサラりと舞った
「キャー」とまた黄色い声
お兄様凄いな 「僕なんて全然」なんてよく言えたものだわ
と思っていたら ひとつに纏められているのがいつもの紐では、なく私の薄いピンクのリボンだった
お兄様…… 本当にそういうところ!
顔が熱くなる赤くなっていると試合が始まった
相手は、3年の騎士課のクラス長ヨハネス・サージェント
「セラ、俺も負けるわけには、いかないから手加減しないからな」
「 遠慮なくおいで」と笑った
初手ヨハネスからくりだした彼の剣は、その大きな体にあったとても大きな剣だ
今までのどの試合の相手も彼の重い剣を受け止められず体がくずれ敗退したのである
きっと、セラとの体では受け止められないであろうと誰もが思っていたらセラは、平然と受け止め跳ね返した
大きな剣と大きなヨハネスの体は、宙にとび競技場の土へと思い切り落ちた
瞬間、大歓声が上がった セラは、ヨハネスに近寄り手を差し出した
「ヨハネス、握手しよう」
「ああ、セラ参ったな……君を顔だけの優男だと見くびった俺の完敗だ」とヨハネスが笑った
握手した手をセラがヨハネスを引き上げ、ふたりは礼をした
「いや、ほら僕はずっとあの人の手合わせうけてきたからね」
とセラの視線の先には、元将軍である父アクセル・ヴィユンディがニコニコと笑って座っていた
「あ〜!そうだよな!
くそっ俺も一からやり直しだ」
そう言いながらセラの肩を組んで退場した
どこからともなく拍手が起こり拍手につつまれながら控え室へと姿を消した
そして、もうすぐノアとフェリックス王子の試合がはじまる
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