第33話 剣術大会 PART3
ノアとフェリックス王子の試合が始まった
ノアとフェリックスが剣を交え睨み合いが続いていた
「やあ、ノアやっと君とふたりきりで話ができる」
「俺は今お前と話じゃなくて戦っているつもりなんだが」
「まあ、そう言うなよ こんな機会ないんだし…… ね
ノア、いやウィリアム・サラスーラそれとも僕もウィルって呼んでもいいかい?」
「貴様、何を言ってる」
交えている剣に力がより一層加わる
「ウィル、僕は君の事君が思っている以上に知っているよ
例えば、君がその服の中に隠してぶら下げている指輪の姫君のこととかね 他にも、まあ、色々…… ね
言ってあげたいけど、まだその時期じゃないんでね」
とフェリックスがほくそ笑んだ
「くっ!」とノアの声が漏れた瞬間交わっていた剣が離れてふたりの体が離れた
フェリックスが剣を先に出した
ノアは、体を崩していたがすぐに立て直しフェリックスの剣を弾き飛ばした 。
フェリックスの剣は、まっぷたつ折れていた
「はあ、やっぱり僕の負けだね
また、ゆっくり話をしよう いずれ……ね」
と、ノアの肩をポンと叩いて笑いながらフェリックスは、控え室へと去っていった
勝ったはずのノアがその場にたちすくみ顔が青ざめていた
ノア…… どうしたの
係員に声をかけられ我に返ったようにノアは、先程まで試合をしていた競技場に礼をして控え室へと向かっていった
「アリス、ノア様どうしたんだろうね」
「ごめん、私ちょっと行ってくる」
「アリス」テリウス様が私の服の裾を掴んだ
「沢山、人いるから…… 話とか……誰がいるかわからないから気をつけて」と心配そうに言った
「あ、そうだね 私凄く焦ってた
落ち着いてゆっくり、ね
ありがとう、行ってくる」
階段を下りて闘技場に沿った楕円に曲がっている廊下を
「落ち着いてゆっくり」
と言い聞かせながら選手控え室へと向かっていった
丁度曲がっているところからストレートになる廊下の道のところにアイリーンとマリアがふたりで話していた
廊下には、もう、試合が始まっているせいか誰もいなかった
ふたりは、私が来たことに気がついていない様子で話を続けていた
うわぁ、テリウス様ありがとう 走って行ってたらモロに遭遇していたわ
ルーに頼んで隠蔽の力で姿を隠して少しだけ近ずいた
「アイリーン様、私あなたを見ているだけでイライラするわ」
「それだけ、好き放題していてまだイライラする事があるのね 不思議」
「あなた、フェリックスの事も、私の事も好きにすればいいって思っているでしょ
私わかってるのよ
でも、今のままのあなたのままじゃあ、本当に欲しいもの可愛い誰かに持っていかれるわよ」
「なにを言っているかわからないわ」
「あら、あなた今…… 凄く焦ってるでしょ」
「焦ってなんかないわ
婚約破棄をすれば全て元に戻るもの」
「そうかしら、そう上手くいくかしら」
「・・・・・・・・」
「私、あなたが好きだからイライラするのよ
私達もっと仲良くできると思うわ」
「仲良く…… 」
「そう、欲しいものは確実に手を入れたいでしょ」
そう言うとマリアは、アイリーンに手を差し出した
アイリーン…… 飛び出しそうになったが足が動かない
気持ちでは、手を取らないでと言いたいのだが
はじめてみるアイリーンのすがるような表情に足が固まってしまって動かないのだ
そして、アイリーンは、マリアの手を取ったのだった……
結局、ノアにも会えず隠蔽を解除し、クレア達のところに戻ろうとした
俯きながら歩いていたら、急に誰かに抱きしめられた
顔をあげるとセラお兄様だった
「アリス、こんな所にいて試合見てなかった? 」
「ごめんなさい、あのちょっとだけ席外していて……間に合わなかった ごめん……」
「いいんだよ、そんな悲しそうな顔しないで
勝ったしね、次は決勝戦だよ ノアとね」
「ノアと……」
「ああ、負けないよ …… 負けるわけにはいかない」
と言ってそっと頬にキスして手を振りながら向こうに行った
さっきまで憂鬱な気持ちだったのにドキドキに変わった
でも、セラお兄様のキスなんて日常茶飯事じゃない
ついこの間まで平気だったのに……
そんな事考えながら自分の席に戻った
「アリス、ノアに会えた? 」
「いや、会えなかった」
「アリス、顔赤い熱あるの?もう少しで決勝戦始まるよ」
「いや、大丈夫だよ」
「ノア様とセラ様だよ決勝戦!」
とカレンが言うとみんなニヤニヤしながら私の顔を覗き込む
自分の中の色んな感情が混ざりあって俯くことしか出来なかった
審判がセンター競技場に現れた
薄暗い廊下の向こうからノアとセラふたりの姿が光を放つように見えてきた
最終試合 決勝戦
闘技場に観客席のボルテージも最高になる
地響きのような歓声が響き渡っている
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