第26話 テリウス第2王子

 生徒会のお手伝いをはじめてから1週間人手も2倍になったせいか準備もサクサクと進んでいった

 そしてなによりも思わぬ人が副会長に就任したのだ


 第2王子のテリウス・サラスーラ王子 2年生 この王子セラお兄様と同じくらい魔導具オタク……あともうひとりいたわね…… クレアの婚約者リチャード

 研究室にこもる魔導具オタクトリオ でもすごく優秀なんですよこの3人とクレアが言う


  テリウス王子 人の前にでるのは、嫌な人なんだけど現在の生徒会の状況そして双子の兄の状況を耳にして自らの意思で生徒会の扉をたたいた

 ってすごくいい人のように聞こえますが、

 セラお兄様いわく「当たり前だろ!あの兄弟は、甘えすぎだ、テリウスももっと早くに生徒会に参加するべきだ」とバッサリ


 でも、そのとおり!

 くせ毛のブロンド ブルーの瞳のテリウス様 研究室にこもっていたせいか王子なのに髪は、のばしっぱなし顔もみえない


「うわ、これは王子と言っても目立たなかったはず」とクレア


「アリスがやってた事、地でやってたのね」すかさずキャロがニコニコしながら口にする


 うう、キャロ相変わらず痛いところをポイントでついてくるわね


 本当にもう、みんな言いたい放題と思ったらカレンがくしとハサミを手にした


 え、ちょっとまさか、カレン待って仮にも王子様よと思ってる間に


「テリウス様、失礼します」

 テリウスが「あ!」と抵抗する間も与えず

 いきなり、生徒会室でチョキチョキ っと。

 あっという間に素敵な王子様が現れました!

 なんだろう殻から出てきたような感じ……


「ちょっと、君たちいきなり…… 本当にもう」

 最初怒ったのかと思っていたら急に私達に呆れたように笑い出した


 テリウスの存在は、前世でも知ってたけどこんな顔だとは知らなかった

 2卵生双生児とはいえ全然フェリックスに似てない……

 ごめん、フェリックス? テリウスのほうがイケメン……だわ

 かっこいいというより可愛い

 本当に双子なの? と思ってしまった

あ、不敬だわ 不敬ね…うん

 でも、あまりにも似ていない

 でも、まわりを見るとみんな同じ表情してたからもしかして同じ事考えていたかもしれない


「あまり、フェリックスと似てないだろ 2卵生双生児だったとしても…… 僕は、彼みたいには、なれないしね」


 自分を卑下しているみたいだけどイヤイヤ殿下ならなくていい フェリックスみたいにならないで


 ちょっと自信なさげにモジモジするテリウス

「可愛いね、ウサギみたい」

キャロがポソッと言った


 そうか、なにか似てると思っていたらウサギか、

 それからテリウスのことを私達は、こっそり「うさちゃん」と呼んでいた


 そんな可愛いうさちゃんことテリウス様は、口数は少ないけれどもとても優秀だった。無駄なことは省いて要点重視 そして、決断力が早い


 見た目のほほん癒し系なのに動きは、俊敏


「テリウス様って凄くテキパキしていますね 」とクレアが思わず言うと


「いや、本当は、何でもゆっくりするほうなんだけど研究室でゆっくりしていたら1個上の先輩が厳しくてね おい!このノロマって怒られちゃう」


 そ。それってもしかしなくてもセラお兄様だよね

 お兄様不敬罪どころかパワハラで訴えられてもおかしくないよ〜


 そして、みんなが思ったこと……この人が皇太子になればいいのでは……と。


 すると、キャロがふわっと切り込んだ


「テリウス様は、御自身が皇太子になろうと思う事はないのですか?」と


 キャロ〜!! とまわりは、びっくりした。


「ははは、君面白いね 僕は、これっぽちも思ったことない。 僕は、好きな人と魔塔で魔導具の研究したいから…… 」

と笑いながらテリウス様が気にしない様子で答えた


「それに、歪な場所にはいたくない ちゃんと元の人のところに戻さなくちゃね」

 と小声でポツリと言った。


 その声は、テリウス様の隣にいた私にしか聞こえなかったみたいだ


 歪な場所…… といったテリウス様の表情も一瞬とても真剣な表情だった

 しかし、またいつものような淡々とした雰囲気に変わった。


「ねえ、アリス 大丈夫?急に黙り込んで」

キャロが心配そうに顔をのぞいてきた


「うん、大丈夫 、なんでもないよ 今日から外出するからそろそろ行かないといけないかなと思って」


「アリス今日から休日外出だよね」


「あ、そうだ そろそろお迎えがくるかも、先に失礼していいですか」


「いいわよ、ありがとうアリス 後から私もお父様とお母様と一緒に伺うから」


「分かりました、お姉様」


 そう、昨日からおじい様とおばあ様が領地から王都のヴィユンディ侯爵家にいらしているのだ


 私は、今晩からヴィユンディ侯爵家にお泊まりの予定である


 キャラウェイ公爵のおじ様、おば様そしてお姉様も夕食に来られるそうだ

 とにかく、今は何も考えず おじい様とおばあ様との久しぶりの再会を楽しむことにした





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