第25話 出会えてよかった

 メガネを外して登校はじめてから数日たった

 相変わらず良い話も悪い話も噂話は、聞こえてくるが仕方ないと割り切っている


 今日は、お姉様に差し入れを持っていこうと思い、クレア達と生徒会室へと向かっていた

 廊下を曲がると勢いおく飛び込んできた女の子とクレアがぶつかった

 彼女が持っていた紙の束が散乱し、

「あいたたた」

 とクレアは、すぐに立ち上がったのだが ぶつかった女の子は真っ青な顔をして倒れたままだった


「えぇ〜!わあ、どうしよう 」

 と、クレアがパニックになってる


「この子、1年のメグ・キートンじゃない 生徒会役員してる」カレンが彼女を知っていた 。

 さすがカレンとキャロが呟く


「とりあえず、医療棟に連れて行こう

 キャロとカレンは、悪いけど散らばってる紙を 回収して生徒会室に持って行ってそして、メグを医療棟に連れて行ったって伝えて」


「連れて行くってどうやって?」

 とクレアがオロオロしながらいう

 ひょいとメグを抱き上げて

「ほら、クレアついてきて」

 とクレアに声をかけて医療棟へ急いだ

 だてに、毎日こっそり鍛錬していないと言いたいが実はこっそり精霊たちが手伝ってくれている


 医療棟で個室に案内され、メグは「過労」と診断された

 点滴をうけている間に、アイリーンとジムが医療棟に来たことをカレンとキャロが静かに部屋に入りながら教えてくれた


 私は、部屋をでてアイリーン達がいる診断室の方にむかうと廊下までアイリーン達が医療棟の医師に叱責されている声が聞こえた


「どうしてこんな事になっている

 学生が過労とはおかしいだろう」

 扉を少しだけそっと開けると中では、若くてヤケに顔の整ったお医者様が少し大きな声で話してる

 怒ってなくても、イケメンにあんな風にいわれたら、圧がすごいんですけど……

 と扉にかけた手が止まってしまった


 しかし、その後急に先生の声が緩やかになった


「どうやら、彼女だけじゃないみたいだな 君たちもふたりとも診察が必要だ

 あと同様に他に作業しているものは、いないのか? 」

「あとひとり」

 とジムが席を立つ音がした

 私は、部屋をノックし

「失礼します、私が呼んで来ます 生徒会室にいらっしゃいますか? あなたは、そのまま診療を受けてください」


「アリス、あなた」とアイリーンが驚いた顔をした


「彼女が 今点滴を受けている子を抱きかかえて連れてきたのさ。 彼女に任せて、君たちは、ひとりずつ隣の診療室に入って」


 アイリーンに「大丈夫、まかせて」

 と小声で声をかけて生徒会室へと向かいスタンを連れてきた

 その後、4人は、診察をうけ点滴を終えて一緒に生徒会室にもどって事情を聞いた


「フェリックスをはじめ生徒会役員4名が何かにつけて仕事をしない」

 とジムが切り出した

「マリアと、ロビン、ジュリアスは1年生でフェリックスの推薦で生徒会に入ったのに何一つ仕事をした事がないの」


「フェリックス様は、以前はキチンと仕事をこなされたのだがマリア嬢と出会われてからは…… 」


 出会われてからという事は入学前からなのか……。


 でも、ここまで一切アイリーンが口を開かない


「アイリーン様、いかがでしょう 期間限定ということで交流会まで私達4人がお手伝いするというのは? 」とカレンが切り出した


「いや、それは……」

 とアイリーンがはじめて口を開いた


「でも、現実的に通常業務に加えて剣術大会、交流会の準備…… 無理ですよね

 3年の先輩は、もう生徒会の業務離れていて進路の準備でご自分の事で手一杯ですよね」カレンが指摘する


「フェリックス様たちが戻ったとしても逆に余計大変そう」

 キャロが、鋭いところをついた


 ジムが少し考えたあと

「アイリーン様、彼女達には申し訳ないですがお言葉に甘えましょう もう、はっきり言って限界です」


「そうですね、報酬なしというのは心苦しいと思うので全てが終わったら打ち上げのお茶会というのはいかがでしょう」

 とクレアがいたずらっぽく言うと、ジムが「そんなことでいいのですか」


「もちろん」と4人で返事をした


 ジムが「アイリーン様、今日はゆっくり休んでまた明日から頑張りましょう」とアイリーンの肩にそっと手をそえた。


「そうね、皆さん本当にありがとう、ごめんなさい」

 とアイリーンが申し訳なさそうにいう。


「お姉様、謝らないで 」

 私達姉妹なんでしょうという言葉は、飲み込んでしまった


 寮に帰ってから3人に

「何だか、巻き込んでしまって……」

 途中でカレンに口を塞がれた


「アリス、そこから先いうと怒るわよ

 第一私が言い出したんだし」

 とカレンが照れくさそうにいう


「そう、そもそも私がぶつかったんだし」


「私は、思いがけずステインのかっこいい姿見れたし、会えたから嬉しい」


「へ?キャロ さっきのお医者様……」


「うん、時々当番で来るみたい」

 とニコニコするキャロにみんなで笑顔になった

 キャロに癒される〜って


「みんな、ありがとう!大好き!」

 って抱きついた

 あなたたちに出逢えてよかった

 今世でアカデミーに来て本当によかったと改めて思えた一日だった








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