第27話 宰相の決心


 ブライアン・アンダーソン宰相は、最近とても頭を悩ませている事がある。


 他ならぬ彼の長男であるロビン・アンダーソンの事である

 これまで、幼い頃から「父のような立派な宰相になりたい」と勤勉であり礼儀も正しく自慢の息子だった彼がまさか悩みの種になるとは!


 彼の異変を知ったのは、王宮職員の噂話を思いがけず耳にしたからだ。

 その日、彼は馬車に乗ろうとした時に愛用の懐中時計を宰相室の自分の机の上に忘れた事に気づき、宰相室に戻った

 部屋の扉に手をかけ開けようとすると部屋の中から自分の部下の口から見知った名前の話が聞こえてきた。

 こともあろう事かその噂の中心人物達の中に自分の長男ロビンの名前が入っているではないか

 ブライアンは、思い切って扉を開き


「すまない、その話もっと詳しく教えて欲しい」


 ガタガターン! 中にいた部下達は、椅子から転げ落ちるほど驚いた


「嘘偽りない話が聞きたいんだ、お願いだ聞かせてくれ」

 部下達は、いつも冷静沈着である自分の上司がこんな切実な表情をするのをはじめて見た」

 部下達は、お互いの顔を見合わせながらも、思い口を開いた


「実は、もう少し調査をしてからご報告しようと思っておりましたが… 最近アカデミーの一部の生徒が毎日のように、マリア・ハニーライド嬢を囲んでお茶会を王都のカフェで開いているようでして」


「お茶会を毎日……」


「はい、その度事に競うかのようにマリア嬢に男子生徒が宝石や装飾品ドレスなどをプレゼントしているのですが

 果てには、家にある貴重な物まで持ち出し金に変えて彼女に言葉が悪いのですが貢いでいるらしくその取り巻きの中にご子息様ロビン様もいらっしゃるという話でございます」


 ブライアンは、言葉が出ず顔から血の気が引くのを感じた

「おおよそ、フェリックス様と幼い頃からご友人でもあらされますのでその流れでズルズルとというのが私達の見解出して、マリア嬢をめぐって決闘騒ぎもおこっているらしく」


「決闘だと!学園長…… それより国王陛下は、ご存知なのだろうか 」


「黙認されております 。 フェリックス様の影が報告したところ、聖女のする事だからと……フェリックス様も思う事ありしている事であろうからほっておけ」と


「は! やはり……腐ってる……」


「宰相様」


 我に返ったブライアンは、すぐさま行動に移した

 秘密裏に自分の妻とロビンを自分の領地へとおくった

 ロビンは、かなり反抗したのでブライアンは、少々手荒な事をしてまでも彼を領地へとおくったのである。

 アカデミーには、急病で領地で療養すると連絡し、休学届けを提出した。


 先ずは、自分の息子とフェリックス達を離さなければならない

 マリア・ハニーライド 危険だと感じとるには遅すぎたのか


 でも、彼ははじめて宰相の息子では、なくロビンという自分の息子とむきあえる時間と場所を作ることができたのかもしれない


 ロビンは、家から金目のものは持ち出してはないものの自分の使えるかなりの金銭をマリアへと注ぎ込んでいた


 宰相は、部下の報告書に唖然とした

「一女生徒へのプレゼントではないだろう……

 そして、この取り巻きが数は、一体…… 」


 フェリックス王子の名前を筆頭に名門貴族の名前、大きな商会の長男など

 見知った名前がそこには、ならんでいた


「これは、子供達の問題だけに非ず、調査室全力をあげて王都そして各領地への現状調査を! 早急に!」


 宰相としてこの国の現実からこれまで、国王の指示もあり目を背けてきたがやっと向き合い行動をおこす決心をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る